今日の一問各論3 「皮膚・頭頸部疾患」
(問題)
小児のリンパ管腫は頸部に好発する。



(答え)○
(解説)リンパ管腫lymphangiomaとは、種々の大きさに拡張したリンパ管の限局性増殖のことであり、真の腫瘍性性格をもつ病変であるかどうかについては疑問がもたれており、現在ではその大部分は先天性のリンパ管の組織奇形と考えられている。
 
新生児期〜小児期に認められることが多く、頭頚部,体幹,四肢の皮下組織のいずれの部位にも発生するが、とくに新生児期における頚部の巨大な嚢胞状リンパ管腫はヒグローマ(cystic hygroma)としてよく知られている。そのほかリンパ管腫はまれに肺,消化管,脾,肝,骨などに発生することもある。

[補足]
慣習上、1)毛細管リンパ管腫capillary lymphangioma, 2)海綿状リンパ管腫cavernous lymphangioma, 3)嚢胞状リンパ管腫cystic lymphangiomaの3種に分類されており、いずれも良性病変である。
 
新生児にみられるリンパ管腫の他には、長期間にわたるリンパ浮腫のある部位に生じ、異型性の強い腫大した内皮細胞でおおわれた管腔形成を示す病変があり、リンパ管肉腫lymphangiosarcomaと呼ばれ、なかでも乳房切除術後にリンパ浮腫を生じた患側上肢に発生するものはスチュワート・トリーヴス症候群Stewart‐Treves syndrome(postmastectomy lymphangiosarcoma)として有名である。

しかし、リンパ管肉腫と血管肉腫angiosarcoma(悪性血管内皮腫maligmant angioendothelioma)とをその組織像から区別することは困難であり、両者の腫瘍性内皮細胞を超微形態学的にあるいは免疫組織化学的に明確に区別する知見はまだ得られていない。そのため最近ではリンパ管肉腫は、angiosarcoma associated with lymphedemaとして扱われている。