各論3 「皮膚・頭頸部疾患」
(問題)
糖尿病患者はせつ腫症を起こしやすい。

せつ腫症(答え)○
(解説)
せつ が長期間にわたって反復して発生するか多発性にみとめるものをせつ腫症という。糖尿病や全身衰弱、悪性腫瘍などの免疫低下が背景となることが多い。生体側と細菌側の両方の因子が背景因子として関与するので、その方面の基礎疾患の検索が必要である。生体側の因子としては感染防御能の低下による場合が多い。ステロイドホルモン,抗癌剤などの長期投与やリンパ球,好中球,マクロファージの機能低下,白血病などの血液疾患,悪性腫瘍,腎不全などによる免疫不全も関与する。

[補足]
 せつ とは、いわゆる"おでき"である。
 黄色ブドウ球菌を主体とする化膿球菌による毛包性膿皮症で毛孔からの菌の侵入により壊死性変化の強い化膿性炎症を生じたものである。症状は毛孔一致性の紅色小丘疹で比較的速やかに硬結性腫脹となり発赤,圧痛,局所熱感が著明となり疼痛も伴う。
 腫脹の大きさは指頭大から鶏卵大までのものが多く、膿疱は壊死化して膿栓を形成する。数日後には中心部が壊死・融解し波動をふれ、膿栓は皮表に破れて膿汁は排出される。

[注]これは、医学評論社で毎平日更新中の一問一答を解説していく…という、不毛なことをやるコーナーです。