各論III-3「その他の皮膚疾患」
(問題)
尋常性狼瘡は有棘細胞癌の前駆症である。

尋常性狼瘡(答え)○
(解説)
 皮膚結核の一つの型である。
 皮膚以外の結核病巣(リンパ節,口腔粘膜,肺など)から血行性、リンパ行性あるいは連続性に、結核菌が皮膚に達し発症する。結核菌に対する過敏症を有するが、免疫の程度は低い個体にみられる。ツベルクリン反応は強陽性であることが多い。
 通常は単発性である。頭頚部に好発する。初発病変は褐紅色の軟らかい丘疹ないし小斑で、次第に遠心性に拡大、あるいは新生する丘疹が融合しつつ拡大し、治癒する部がある一方、新生する部があり、全体として表面乾燥性、中心部が萎縮性の辺縁不規則な紅斑局面となる。
 丘疹をガラス圧子で圧迫すると、黄色の結節(狼瘡小結節,アップルゼリー結節)が透見される。年余にわたりきわめて慢性に経過し、顔面軟骨の破壊,眼瞼外反、小口症などをきたす。
 関節部では拘縮も起こる。扁平斑状型のほか増殖型,潰瘍型などがある。組織学的には類上皮性結核結節であるが、乾酪壊死は軽度であり、抗酸菌染色で結核菌を見出すことはむずかしい。長期にわたる病変では癌化(有棘細胞癌)することがある

[注]これは、医学評論社で毎平日更新中の一問一答を解説していく…という、不毛なことをやるコーナーです。