各論III-5「外眼部・前眼部疾患」
サルコイドーシスでは乾性角結膜炎がみられる。

(答え)×
(解説)
乾性角結膜炎とは、涙液分泌の減少が原因となる角結膜炎である(いわゆるドライアイ)。原因疾患としては、シェーグレン症候群、ライリー・デイ症候群(家族性自律神経失調症)、閉瞼不可(たとえば眼球突出や顔面神経麻痺など)による場合などがある

ちなみに症状としては、眼精疲労、異物感、乾燥感から眼痛まで種々の症状を訴える。また、湿度の低下する冬に悪化する。涙液分泌が低下するため、角膜びらんが認められる。

重傷度の判定には、フルオレセイン染色試験(点状表層角膜炎や糸状角膜炎など)、ローズベンガル染色試験、シルマー試験が必須。

治療としては、防腐剤無添加の人工涙液の頻回点眼を行う。


サルコイドーシスとは、多臓器にわたる肉芽腫性疾患で,原因不明である。
20歳代に好発し、女子にやや多い。

症状は多彩である。
まず両側性の肺門リンパ節腫脹(BHLと呼ぶ)が起こり、これが初発症状である。頚部や鼡径部のリンパ節腫脹もよくみられる。
眼症状も多くみられ、両眼性のぶどう膜炎が最も多い
皮膚症状としては、まず初期に結節性紅斑erythema nodosumがしばしばみられ、女性例が多い。ちなみに皮膚症状は皮膚サルコイドと総称されるが、上記よりやや遅れて、30〜40歳代に多い。
そのほか耳下腺・骨・肝・脾・心臓・筋肉・神経病変もある。

診断は臨床症状と胸部X線像、組織生検像による。クヴァイム反応Kveim reactionは,患者脾組織などの磨砕液を皮内注射して,4〜6週後に生検し、肉芽腫形成の有無をみるもので、本症に特異性が高いと評価されている。

治療としては、副腎皮質ホルモンが有効であるが、治療抵抗例もある。

[補足]
ドライアイの原因として、VDT(visual display terminal:つまりはPCのモニターを見るなど)作業によるまばたき減少があります。このblogをご覧の方、目が乾いてませんか?

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[注]これは、医学評論社で毎平日更新中の一問一答を解説していく…という、不毛なことをやるコーナーです。