各論III-5「外眼部・前眼部疾患」
Wilson病ではKayser-Fleischer輪がみられる。

(答え)○
(正答率)90.2%
…もはや、間違えようのない問題。

(解説)
・概念
ウィルソン病とは,肝硬変,進行性錐体外路症状およびカイザー・フライシャー角膜輪Kayser‐Fleischer corneal ringを三主徴とする先天性銅代謝異常症である.
常染色体性劣性遺伝形式をとり,男女両性に出現する.発症は,4〜60歳と幅広い.
血清セルロプラスミンの低値,尿中銅排泄過多があり,生体内に過剰銅が蓄積するために諸症状を呈する.

・症状
小児期には,肝障害や溶血をもって発症する肝型が多く,神経症状をもって発症する神経型や肝神経型は10歳以降にみられる.
肝障害は,軽い黄疸・軽度の肝機能障害から腹水を認めるものまでいろいろの型をみるがいずれも進行性の結節性肝硬変となる.
神経症状は,構音障害,特有の振戦などから始まり次第に歩行障害が出現し荒廃する.Kayser‐Fleischer角膜輪は,肉眼的には10歳以降にみられ,神経型には必発といわれる.

・治療
キレート剤であるD‐ペニシラミンが使用され,発症予防や治療が可能となっている.D‐ペニシラミンの副作用も多く報告され,トリエンが使用されることもある.

[注]これは、医学評論社で毎平日更新中の一問一答を解説していく…という、不毛なことをやるコーナーです。

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