<ステロイド長期投与患者に対する麻酔管理>
 ステロイドの長期連用内服は、侵襲によるストレスにより、下垂体−副腎系の機能低下のため、コルチゾールの放出が不十分となり、術前・術中に発熱やショック、副腎不全などを起こす危険性があるためである。
 術前管理としては、副腎皮質機能評価が重要で、合成ACTHであるコートロシンによる迅速ACTh試験が有用である。本法では、仝畫8時30分の血漿コルチゾール濃度が12.0μg/dl以上 ▲魁璽肇蹈轡0.25mg筋注後30分(午前9時)の血漿コルチゾール値が17.0μg/dl以上 9時の血漿コルチゾール濃度増加が投与前値に比し4.0μg/dl以上 の上記3条件の内、2条件を満たせば、正常である。
 迅速ACTH試験で低反応、最近1週間以上ステロイド療法を受けた患者、最近6ヶ月以内に、1ヶ月以上に渡りステロイド療法を受けた患者、ステロイド治療を中止し、コントロール不良がみられる場合には、別の方法としてステロイドカバーを適応することもできる。ステロドカバーは、手術室入室後より始める。通常、成人ではコルチゾールとして1日20mg分泌されており、ストレス時には10〜20倍分泌される。よって、投与量は、手術侵襲の度合いにより、手術当日はコルチゾールに換算して200〜400mgとし、2日目、3日目は前日の半量とする。
 ただし、いずれの全身麻酔薬を用いた麻酔中でも、副腎皮質予備能はよく維持されている。迅速ACTH試験の反応が不良な患者でも、呼吸、循環、体液の管理が適切であれば、ステロイドカバーなしでも術中に循環虚脱に陥る可能性は少ない。しかし、術前の急性副腎機能不全の発生予知は困難であるため、重篤な感染症患者の手術、高齢者の開腹術、特にイレウスの手術の場合には、急性副腎不全の可能性を考慮し、ステロイドカバーをしたほうがいいとされている。

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