<鼓室形成術について>
 鼓室形成術は、破壊された中耳を形態・機能共に回復させる手術である。
 適応:伝音性難聴であり、内耳機能・耳管機能が保たれているもの。
〃鯀瓦兵管機能、可動性ある卵円窓と正円窓、F蘯機能の健在の三つがあれば聴力の改善が期待できる。本手術の条件として中耳に活動性炎症がなく、良好な耳管機能をもち、骨導聴力やアブミ骨の可動性が保たれていることが必要である。
 手術術式にはWullsteinの5つの基本形がある。今日成績もよく、実施されることの多いものは、儀拭↓祁拭△よび厳進冕 淵灰襯瓮薹拭砲任△襦8殍豬狙材料には筋膜,皮膚,軟骨などがあり、耳小骨としては自家骨,同種骨の他にセラミック,ポリエチレンなどの人工物も用いられる。
儀拭
適応:鼓膜に穿孔があるが、耳小骨に異常がなく、耳小骨連結が正常の場合
鼓室内病変がなく、耳小骨連鎖は可動なものに行なわれる。鼓膜穿孔部だけが移植組織弁でふさがれる場合と、鼓膜全体が移植組織弁で置き換えられることがある。(鼓膜形成術)鼓膜穿孔を閉鎖し、面積比・てこ比・遮蔽効果の全て(40dB)が再建される。
況拭
適応:ツチ骨・キヌタ骨に部分欠損があるが、キヌタ骨とアブミ骨の連結が正常の場合
儀燭茲蠅気蕕紡腓な手術をするもので、ツチ骨、キヌタ骨に部分的欠損があっても、全体としての伝音連鎖が保たれている場合に行なわれる。手術により、鼓膜とアブミ骨底との面積比による音圧変換作用が回復される。(広義の鼓膜形成術)
キヌタ骨に鼓膜を張り、面積比・てこ比の半分・遮蔽効果(38.5dB)が再建される。
祁拭
適応:キヌタ骨とアブミ骨の連結が悪いが、アブミ骨の動きは正常の場合。
ツチ骨、キヌタ骨の連絡がなくなった場合、アブミ骨の機能が正常であれば、両小骨は取り除き、鼓膜として作用する皮膚あるいは筋膜などの移植弁を直接にアブミ骨頭につける(鼓膜・アブミ骨癒合術)。また癒着をふせぐために、アブミ骨頭に軟骨片をおいてから鼓膜に接するコルメラ型がある。
アブミ骨に鼓膜を張り、面積比・遮蔽効果(37dB)が再建される。
厳拭
適応:アブミ骨頭・脚が破壊されていても、アブミ骨底板の可動性が保たれている場合
アブミ骨の頭と脚が消失してしまっていても、底がまだ可動であるときは、蝸牛窓を含む下鼓室から耳管につながる小鼓室をつくると、蝸牛窓の遮蔽効果が現れ、前庭窓から直接入る音との間に音圧差が再生される。この場合音圧変換作用は再生されない。(小鼓室形成術)
アブミ骨底板に直接鼓膜を張り、遮蔽効果(12dB)が再建される。
昂拭
適応:アブミ骨底板が固着しているような場合
アブミ骨底が固定されているときには、別に新しく外側半規管に開窓して蝸牛窓との間に音圧差をつくる。(内耳開窓術)
外側半規管を開窓し、鼓膜を張ることで、遮蔽効果(12dB)が再建される。
 また、炎症が残る例や真珠腫性中耳炎例では、病巣の除去と伝音機構の再建とを分けて、段階的手術とする場合がある(段階的鼓室形成術)。段階的鼓室形成術で最初に行われる手術を0型手術という。0型手術とは病巣の清掃、鼓膜の形成、含気性中耳腔の形成を意図した手術で,40dBほどの聴力低下が見られるのが普通である。
 術後合併症としては、顔面神経麻痺、内耳障害、前庭障害などがある。
 術後はWeber testや頭位眼振、頭位変換眼振検査をおこない、感音性難聴や前庭機能障害をきたしてないか調べる必要がある。また、顔面神経麻痺・鼓索神経障害の有無を調べるために、顔面神経筋テストや電気味覚試験を行う必要がある。髄膜炎は真珠腫などにより硬膜が露出している場合などで特に注意が必要である。リスクが高いと考えられる場合には、髄膜刺激症状を術後に調べる必要がある。S状静脈洞は解剖学的に近くに存在するので、損傷しないよう注意が必要である。

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真珠腫性中耳炎について Part01

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真珠腫性中耳炎について Part03(鼓室形成術について)