○強皮症
【主訴】労作時の息切れ
【現病歴】
空咳、Raynaud現象がみられ、近医にて胸部Xpで間質性肺炎(肺底部に網状陰影)を指摘されています。エンドキサンパルス療法の4クール目を目的に入院。
【検査結果】
・血液検査
Hb,RBC↓、WBC↑、CRP↑、KL-6↑(間質性肺炎・肺線維症で上昇)
・胸部CT
 両肺底部肺野末梢優位に気管支血管束に沿って濃度の高い間質性陰影、牽引性気管支拡張が存在
・呼吸機能検査
 拘束性障害(%VC:47.8%<80%) 拡散障害(%DLco 52.6%<80%) FEV1.0% 92.3%
・room airにて血液ガス検査
 pH7.444 PO2 73.7mmHg PCO2 42.9mmHg
・ECG:洞性頻脈

・診断
 診断基準としては、厚生労働省新診断基準(竹原班)を参照とすれば以下のようになる。


 大基準:手指あるいは足趾を越える皮膚硬化※
 小基準:1)手指あるいは足趾に限局する皮膚硬化
     2)手指尖端の陥凹性瘢瘍,あるいは指腹の萎縮※※
     3)両側性肺基底部の線維症
     4)抗トポイソメラーゼ機Sc1-70)抗体または抗セントロメア抗体陽性
 大基準、あるいは小基準2項目以上を満たせば全身硬化症と診断
 除外基準:※限局性強皮症(いわゆるモルフィア)を除外する。
     ※※手指の循環障害によるもので,外傷などによるものを除く
 判定:大基準を満足するか
    小基準の1)及び2)〜 4)のうち1項目以上を満足する


 本症例では、小基準にて1)手指あるいは足趾に限局する皮膚硬化 及び3)両側性肺基底部の線維症を満たす。また寒冷刺激によるRaynaud現象を伴い、手指の循環不全や外傷はなく、かつ間質性肺炎を伴うことから、除外診断の項目は当てはまらない。以上より、汎発性強皮症systemic sclerosisとの診断がつく。
 以下に、検査結果についての考察を記す。特に、膠原病を念頭におきながら結果について記す。
 免疫血清検査では、ANF 陽性(40倍)以外は抗Scl-70抗体を含み陰性である。また、CREST症候群では抗セントロメア抗体(ACA)陽性が特徴的であるが、本症例では陰性となっている(ただし、SScにおいても20%で陽性となっている)。
 血液検査にては、貧血、CRP陽性、Alb低下などの炎症所見を示し、長期経過でみられるため、慢性炎症の存在をうかがわせる。好中球優位のWBC増加がみられ、炎症の存在を裏付けていると考えられる。また、SLE、SjSといった疾患ではWBCは減少傾向にあることが多く、こうした疾患とは異なると考えられる。好酸球数は正常値であるため、Churg&Straus症候群、Wegener肉芽腫、PNといった病態とは異なると考えられる。また、KL-6が異常高値を示し、間質性肺炎の活動性が高いと考えられる。
 尿検査では以上所見無く、かつ血中Cr値も正常であり、高血圧もないので(腎性高血圧の否定)腎機能障害は考えにくい。
 呼吸機能検査にて、拘束性障害(%VC:47.8%<80%) 拡散障害(%DLco 52.6%<80%) FEV1.0% 正常92.3% と間質性肺炎の所見をうかがわせる。

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