SScの症状としては、以下のようなものを呈する。
初発症状はRaynaud現象、四肢末端の浮腫、手指の肥厚、不定の関節痛などである。本症例では初期にRaynaud現象、四肢末端の浮腫、手指の肥厚などがみられている。
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 一般的には、浮腫期、浮腫性硬化期、硬化期、萎縮期と経過を辿る。硬化期では、開口障害、皮膚の皺の消失、指尖の小潰瘍、色素脱失・沈着、仮面様顔貌、舌小帯萎縮などを来す。萎縮期では、発汗障害、皮下石灰沈着、爪の萎縮変形、関節の屈曲拘縮などが起こる。本症例では、硬化期や萎縮期にみられるような皮膚粘膜症状はなく、Raynaud現象、内臓所見(間質性肺炎)のみである。
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 体重減少や易疲労感などがある。本症例では、こうした症状はみられていない。
9・関節症状
 症例の50%以上に見られる。多発性関節炎(指・肘・膝・足関節など)やX線上関節破壊はないが、軽度の軟骨消失がある。本症例では、こうした症状はみられない。
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 症例の75%にみられ、間質性肺炎をきたす。肺感染症を合併しやすい。また、蜂窩肺へと経過を辿ることもある。胸水貯留は少ない。本症例では間質性肺炎をきたしている。喀痰にて一般細菌検査を行ったところ、常在菌以外発見されず、感染症はないと考えられる。
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 食道、十二指腸、小腸、大腸の順で頻度は高く起こる。消化管全体の蠕動低下により、食道の他、小腸、大腸でも拡張がみられる。本症例では、食道内圧検査にて中下部食道の第一次蠕動波低下がみられた。ただし、食道内pH検査では中性であったとのことから、逆流性食道炎は起こっていないと考えられる。
心症状
 症例の50%でみられる。線維性心筋炎から伝導障害、不整脈が起こることがある。本症例ではECG上、頻脈がみられているがそれ以外の不整脈所見はみられていない。
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 症例の50%で起こる。強皮症腎クリーゼにより血管内皮細胞障害を基本に糸球体虚血を生じ、高レニン性悪性高血圧から腎不全をきたすことがある。本症例では、尿検査では以上所見無く、かつ血中Cr値も正常であり、高血圧もないので(腎性高血圧の否定)腎機能障害は考えにくい。
 
・治療
1)生活指導
 保温、栄養、皮膚の保護、感染予防、禁煙などの指導を行う。個々の症例の病期や重傷度によって異なるが、基本的には過労や睡眠不足を避け、「マイペース」な生活を心がけるようにしてもらう。ステロイド内服例については、感染機会を減らすために人混みへの外出を控えてもらう。 
2)薬物療法
 全身的な免疫反応、炎症反応のコントロールには副腎皮質ステロイド、免疫抑制薬を用いる。線維化の改善には、D-ペニシラミン、エラスターゼ、チオプロニンなどが用いられる。末梢循環の改善には、ビタミンE製剤、カルシウム拮抗薬、プロスタグランジン製剤、抗血小板薬、α1−ブロッカーなどが用いられる。潰瘍治療としては、抗生物質(創部の細菌感染に対して)、抗トロンビン薬、細胞成長因子製剤などが用いられる。上部消化管障害に対しては、消化薬、制酸薬、粘膜保護薬、ヒスタミンH2拮抗薬、プロトンポンプ阻害薬、機能調節薬(クエン酸モサプリド)などを用いる。肺線維症に対しては、鎮咳薬、去痰剤、抗生物質(気道感染に対して)を用いる。関節炎に対しては、非ステロイド性抗炎症薬をもちいる。悪性高血圧に対しては、ACE阻害薬を用いる。その他、不眠や不安には向精神薬、貧血には鉄剤、皮膚の掻痒には抗ヒスタミン薬をもちいる。
 本症例では、全身的な免疫反応、炎症反応のコントロールにプレドニン、ロキソニン(解熱鎮痛消炎剤)、末梢循環の改善にプロサイリン(経口プロスタサイクリン(PGI2)誘導体製剤)、上部消化管障害に対してガスターD(消化性潰瘍用剤)、間質性肺炎に対しては、ムコソルバン(去痰剤)、フスコデ(鎮咳剤)、バクタ(ST合剤)、イトリゾール(深在性真菌治療薬)、貧血に対してはアルファロール(ビタミンD)、フェロミア(鉄剤)を用いている。


・予後
 比較的慢性の経過をとる症例が多く、予後に関与するのは心肺病変である。死因としては、肺感染症による呼吸不全、心不全、不整脈による突然死、腎不全(悪性腎硬化症)などがある。間質性肺炎については、会話時に空咳や息切れを伴うことがあり、Fletcher-Hugh-Johnsの分類では、慧(平地でさえ健常者なみに歩けないが、自分のペースなら(1.6km以上)歩ける)であった。感染症については、喀痰検査にて常在菌のみを検出し、肺感染症の存在は否定的である。心不全、不整脈については、ECGの結果より、洞性頻脈が存在する。本症例では貧血があるため、その関与があると思われる。ただし、その他不整脈などもみられず、伝導障害などもなく、病的意義は少ないと考えられる。
 腎機能については、尿検査では以上所見無く、かつ血中Cr値も正常であり、高血圧もないので(腎性高血圧の否定)腎機能障害は考えにくい。
 以上より、考慮すべきは間質性肺炎の存在で、今後も上記薬剤を用いた薬物治療の継続が必要である。

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