以下は、『厚生労働省特定疾患進行性腎障害に関する調査研究班報告IgA腎症診療指針−第2版−』を参照にした。
 まず、治療方針を決定するために、予後判定基準により以下の4群に分ける。
1.予後良好群:透析療法に至る可能性がほとんどないもの。
2.予後比較的良好群:透析療法に至る可能性が低いもの。
3.予後比較的不良群:5年以上・20年以内に透析療法に移行する可能性があるもの。
4.予後不良群:5年以内に透析療法に移行する可能性があるもの。
 各症例が上記のどの群に含まれるのかは、1)腎生検光顕標本組織所見(A.糸球体所見およびB.尿細管・間質・血管所見) および2)その他の臨床所見(腎生検の組織所見に加えて,血圧,血清クレアチニン,クレアチニンクリアランス,尿蛋白量などの値に悪化傾向が認められた場合は,予後判定の重要な補助手段になる)によってそれぞれ分類される。
 本症例の場合、予後比較的不良群に含まれると考えられる。その理由としては、以下の基準にあてはまると考えられるからである(本症例の腎生検の記述参照のこと)。
A.糸球体所見
中等度,びまん性のメサンギウム細胞増殖と基質増加。糸球体の硬化・半月体の形成・ボウマン嚢との癒着を認める糸球体は全生検糸球体の10〜30%である。
 ただし、B.尿細管・間質・血管所見(尿細管萎縮は軽度で,間質では一部の硬化糸球体周囲以外には細胞浸潤は軽度である。血管には軽度の硬化性変化を認める程度である)については当てはまらないが、糸球体所見から予後比較的不良群と診断し、それに準じた治療を行った。
 治療としては、本症例(予後比較的不良群)の場合、具体的にはまず生活規制として、過労を避けること、といった指導する。また、食事療法を行い、食塩、蛋白の制限を行う。
 薬物療法に関しては、基本的に以下のような薬剤を用いる。
抗血小板薬:抗血小板薬の長期投与を行う(蛋白尿減少効果をもつ)。
降圧薬:腎不全を伴わない高血圧症例についてはACEIやARB、降圧利尿薬を使用し、降圧不十分あるいは腎不全を伴う症例に対してはカルシウム拮抗薬あるいはα-遮断薬を用いる(降圧による効果に加え、慢性腎障害時における腎機能保持効果や蛋白尿減少効果を期待できる)。
I腎皮質ステロイド:尿蛋白量が0.5g/日以上で,クレアチニンクリアランスが70 ml/min 以上であれば適応となる(蛋白尿減少や腎機能保持効果をもつとされている)。
す涯展婆堯Э媽幻,波招鄲侶狙,糸球体硬化,ボウマン嚢との癒着などが目立つ場合はワルファリンを用いるが、入院患者ではヘパリンを使用することもある(カクテル療法)。
ヌ髪嵳淦薬:副作用が考慮されるため、IgA腎症の基本的治療薬には選択されず、急速進行例や高度の急性炎症所見を認める症例に用いられる。