・拡張型心筋症とは
拡張型心筋症は、心筋の細胞の性質が変わって、とくに心室の壁が薄く伸び、心臓内部の空間が大きくなる病気です。その結果、左心室の壁が伸びて血液をうまく送り出せなくなり、うっ血性心不全を起こします。左心室の血液を送り出す力は、心臓の壁が薄く伸びるほど弱まるので、心筋の伸びの程度で重症度が決まってきます。
・原因
原因もはっきりわかっておらず、これまでの研究では、ウイルス感染、遺伝子異常、免疫系の異常、アルコールのとりすぎ、妊娠など(複数の要素が関連する場合もあり)が関係しているらしいことがわかっています。
・症状
最初のうちは自覚症状はありません。しかし、病状が進んでうっ血性心不全が重くなると症状が現れてきます。
初期には疲れやすくなったり、運動時などに動悸や息切れを感じたりという症状が現れ、ひどくなると夜間発作性呼吸困難も出てきます。夜間発作性呼吸困難とは、夜間眠りについて数時間たったころに突然起こる強い呼吸困難のことです。横になったことで下半身の血液がより多く心臓へ流れ込み、肺全体が血液で満たされ、肺がうまく酸素を取り入れられなくなって起こります。
もっと重症になると、全身にむくみが出たり肝臓がはれたりしてきます。心室頻拍や心室細動といった危険な不整脈が起こると突然死する場合もあります。
・予後
拡張型心筋症の5年生存率は54%、10年生存率は36%と極めて不良で、突然死の発生もまれではありません。
・治療
まずは内科的療法によって、心不全の症状を軽減する薬剤が用いられます(利尿薬やアンジオテンシン変換酵素阻害薬、ジギタリス薬など)。
重傷例では、外科的治療が行われます。拡大した心臓の一部を切除して心室を縮小させることにより、心機能を改善させる左室部分切除術という方法もありますが、今のところ明らかに有効な治療法は心臓移植しかありません。
重度の心臓病のため渡米して心臓移植手術を受ける予定だった群馬県渋川市の田子蓮樹君が出発直前の3日夜、心不全で死去した。
今月7日に人工肺を付けたまま渡米し、カリフォルニア州の大学病院に入院して臓器提供者を待つ予定だった。1日夜に容体が悪化し、検査の結果、3日朝に医師から「移植対象外」と宣告された。人工肺と人工呼吸器が取り外され、午後8時、家族が見守る中で亡くなったという(心臓移植待つ蓮樹君死去 父親「あと一歩で…悔しい」)。
「心移植しか助かる道がない」と宣告され、一縷の望みにかけて渡米した結果、亡くなってしまった…ご両親の気持ちを考えると、やりきれない思いに苛まれます。
募金によって他の子が助かることもそうですが、それ以上に心移植が国内でも行われるように法や制度が整備されることを望みます。
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拡張型心筋症
拡張型心筋症は、心筋の細胞の性質が変わって、とくに心室の壁が薄く伸び、心臓内部の空間が大きくなる病気です。その結果、左心室の壁が伸びて血液をうまく送り出せなくなり、うっ血性心不全を起こします。左心室の血液を送り出す力は、心臓の壁が薄く伸びるほど弱まるので、心筋の伸びの程度で重症度が決まってきます。
・原因
原因もはっきりわかっておらず、これまでの研究では、ウイルス感染、遺伝子異常、免疫系の異常、アルコールのとりすぎ、妊娠など(複数の要素が関連する場合もあり)が関係しているらしいことがわかっています。
・症状
最初のうちは自覚症状はありません。しかし、病状が進んでうっ血性心不全が重くなると症状が現れてきます。
初期には疲れやすくなったり、運動時などに動悸や息切れを感じたりという症状が現れ、ひどくなると夜間発作性呼吸困難も出てきます。夜間発作性呼吸困難とは、夜間眠りについて数時間たったころに突然起こる強い呼吸困難のことです。横になったことで下半身の血液がより多く心臓へ流れ込み、肺全体が血液で満たされ、肺がうまく酸素を取り入れられなくなって起こります。
もっと重症になると、全身にむくみが出たり肝臓がはれたりしてきます。心室頻拍や心室細動といった危険な不整脈が起こると突然死する場合もあります。
・予後
拡張型心筋症の5年生存率は54%、10年生存率は36%と極めて不良で、突然死の発生もまれではありません。
・治療
まずは内科的療法によって、心不全の症状を軽減する薬剤が用いられます(利尿薬やアンジオテンシン変換酵素阻害薬、ジギタリス薬など)。
重傷例では、外科的治療が行われます。拡大した心臓の一部を切除して心室を縮小させることにより、心機能を改善させる左室部分切除術という方法もありますが、今のところ明らかに有効な治療法は心臓移植しかありません。
重度の心臓病のため渡米して心臓移植手術を受ける予定だった群馬県渋川市の田子蓮樹君が出発直前の3日夜、心不全で死去した。
今月7日に人工肺を付けたまま渡米し、カリフォルニア州の大学病院に入院して臓器提供者を待つ予定だった。1日夜に容体が悪化し、検査の結果、3日朝に医師から「移植対象外」と宣告された。人工肺と人工呼吸器が取り外され、午後8時、家族が見守る中で亡くなったという(心臓移植待つ蓮樹君死去 父親「あと一歩で…悔しい」)。
「心移植しか助かる道がない」と宣告され、一縷の望みにかけて渡米した結果、亡くなってしまった…ご両親の気持ちを考えると、やりきれない思いに苛まれます。
募金によって他の子が助かることもそうですが、それ以上に心移植が国内でも行われるように法や制度が整備されることを望みます。
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