・一酸化炭素中毒とは
一酸化炭素は無色・無臭のガスで、吸いこむと血液中の酸素運搬が阻害され、体の各組織が酸素を効果的に使うことができなくなる。この状態を一酸化炭素中毒という。少量であれば無害だが、血液中の一酸化炭素濃度が高くなりすぎると中毒が起こる。

・症状
 軽度の一酸化炭素中毒では、頭痛、吐き気、嘔吐、体調不良が起こるが、多くの場合、新鮮な空気を吸うことで回復する。
 中度から重度の一酸化炭素中毒は、錯乱、意識消失、胸痛、息切れ、昏睡が起こる。そのため犠牲者の多くは自力で動くことができなくなり、救助が必要となる。
 重度の一酸化炭素中毒は、しばしば死に至る。まれだが、重度の一酸化炭素中毒が明らかに回復してから数週間後に、記憶喪失、体調不良、排尿障害(遅延型の神経精神症状とみなされています)が生じることもある。

 一酸化炭素中毒が危険なのは、患者が眠気を中毒の症状だとは認識しないからである。そのため軽度の中毒患者が眠ってしまい、重度の中毒や死に至るまで、一酸化炭素を吸い続けてしまう。長期にわたる暖炉や暖房器具の使用による軽度の一酸化炭素中毒では、インフルエンザやウイルス感染の症状と間違えることがある。

・診断
一酸化炭素中毒は、血液中の一酸化炭素濃度を測って診断される。

・治療
軽度の中毒なら新鮮な空気を吸うだけで回復する。重症の場合はフェースマスクを使って高濃度の酸素を吸わせる。酸素は血液中の一酸化炭素を消滅させ、症状を緩和する。

・病態
一酸化炭素は酸素よりも約250倍も赤血球中のヘモグロビンと結合しやすい上、酸素分圧とオキシ・ヘモグロビン濃度との関係を変調させる。
 ヘモグロビンには4つの酸素結合部位が存在し、結合数が多いほど結合安定が安定になる。すなわち、末梢の酸素分圧が低い組織に運搬されると酸素の結合が乖離し始めるが、結合する酸素が減るほど乖離しやすくなる為、効率的末梢で酸素を放出する特性がある。
 ところが、4つある結合サイトのうち1つが一酸化炭素と結合したヘモグロビン(カルボニルヘモグロビン)は、他のサイトに結合した酸素も安定化し放出しにくくなるため、血液の酸素運搬能力が下がり、末梢で酸素分圧が極端に低下するることによる。



ガス機器メーカー最大手「リンナイ」(名古屋市)の湯沸かし器による一酸化炭素(CO)中毒事故で、同社取締役会はCO中毒事故を議題にしたことがないことが11日、分かった。同社は「取締役会で取り上げるのは器具に欠陥がある場合だけ」と説明している。

 昨年7月に事故が発覚したパロマ工業(同市)も自社側で設置した第3者委員会が事故の防止が遅れた背景に取締役会の無機能状態があったことを指摘しており、消費者の安全確保に対するガス機器メーカーの消極的姿勢に批判が出そうだ。

 9日に公表した過去7年間の5件の事故では、調査中とする横浜市の事故を除きいずれも「顧客の使用方法による中毒事故」として欠陥はないと結論。器具に問題がないとの警察の判断を踏まえたという(リンナイ、取締役会で議論せず「欠陥ない」と消極姿勢
)。

…こうした消極的な姿勢こそが、事故を繰り返してしまうという原因になっているのではないか、と思わざるを得ない。音もニオイもなく忍び寄ってくる恐ろしい中毒に、怯えている人たちや犠牲となったご家族のことを思うと、忍びない。