先天性骨形成不全症は、易骨折性(骨が弱いこと)を主な症状とし、他に青色強膜(白目の部分が青く透き通って見える)や歯牙形成不全や難聴などを伴う場合がある稀な骨の病気。

骨形成不全症は先天型congenitaと遅発型tardaに分けられる。先天型は胎生後期あるいは出生直後に診断しうる。劣性遺伝のものが多く、重症で予後もわるい。

症状の原因は、遺伝子的に受け継がれていく全身の結合組織(骨・軟骨・靱帯などを構成するコラーゲン)の働きが充分でない事による。従って、単に骨が弱いだけでなく、様々な症状を併発する可能性がある。

特に骨が弱いことについては、従来 成人になるまで(特に幼少期)に多いとされていた(事実、成人後は骨折の回数が減少する傾向にあります)。しかし、最近では中高年になってからの骨折の再発が心配されるようになり、体力の著しい減退と共に骨折の再発もあるようである。また青色強膜や歯牙形成不全や難聴の他にも呼吸器・循環器の疾患を伴なったり、他にも少数ですが知的障害や口蓋裂などを併せ持つ患者もいる。

遺伝子に起因する疾患であり、骨折の回数が年齢により減少しても治癒するものではありません。その人の一生を通して、うまく身体と付き合う必要がある。

発生頻度は約2万人に1人という報告が多い。Sillence Barlowはオーストラリアでの発生頻度を臨床病型別に検討し、
?型:2.8万人に1人
?型:6万人に1人
?型:約7万人に1人
?型:20万人に1人と報告している。

治療は確立した方法はなく、病例毎に試行錯誤が繰り返されることが多い。手術的治療としては、髄内釘による長管骨の骨折変形予防、変形の骨切矯正、脊椎の後方固定術などが行われる。
重症例については、整形外科的な十分なサポートの上に慎重な理学的治療法が必要とされる。薬物療法ではカルシトニンに加え、最近ではビスフォスフォネートの有効性が示され、先進的医療としては骨髄移植の有効例も報告されている。
いずれの治療法も、個々の病例において、慎重な判断のもと、行われるべきであり、すべての病例に共通した治療法がないのが骨形成不全症の特徴であり、治療にあたっては長期的な予後まで考慮した慎重な判断が必要である。



2007年02月16日放送の「Dのゲキジョー」に出演した米良美一。

実は先天性骨形成不全症患者だったことを告白した。
その病気のために骨折を繰り返し、青春時代のほとんどをベッドに固定され、寝たきりで過ごした。また、病気のことで同級生からいじめられることもあった、という。

そんな暗い生活を送ってきた米良だったが、母親に歌を唄って喜んでもらえたことや、中学時代に松田聖子の歌により音楽と出会い、その魅力に惹かれた米良は、高校から音楽を学び始める。

宮崎駿監督が偶然聴いていたラジオ放送をきっかけに、スタジオジブリの大ヒットアニメ映画、「もののけ姫」の主題歌の歌い手に大抜擢され、世間の注目を浴びることとなった。

一躍有名になった米良。音楽の世界で成功する夢が実現したが、映画のヒットの裏で壮絶な地獄を味わっていたという。

ある日、自分の体について書かれたショッキングな記事を見た美一。
世間の目は、病気のために小さい自分の体に向いていることに気づき、視線恐怖症になってしまった。時には100メートルの移動にタクシーを使用する程、他人の視線を恐れるようになっていた。さらに、その精神的、身体的疲労から、自らの証である美声を失ってしまったという。

…本当に壮絶な過去を、初めて告白した米良さん。
彼の頑張る姿を見て、今回の放送により、勇気づけられる患者さんがいることを願います。