人工股関節の摩耗を防ぎ、従来より5倍以上も長持ちさせる新技術を、石原一彦・東京大教授(バイオマテリアル工学)らの研究グループが開発したと9日発表した。近く東大病院などで臨床試験に入るという。

人工股関節は、高齢者に多い変形性関節症や関節リウマチなどの病気の場合に用いられる。合金でできた脚側の球状の骨頭部を、骨盤側に埋めたポリエチレン製のカップでくるんで関節の代わりにする仕組みで、国内では年間約10万件の手術が行われている。

しかし、使っているうちに摩耗してポリエチレンの微粉末が生じ、周辺の骨を溶かすため関節が緩んでくる。痛みや歩行障害が生じるため、患者は10〜15年で取り換えなければならないという欠点があった。

耐用年数が10年近くだったということがネックでしたが、それが改善されたようです。たしかに、股関節の痛みが劇的に改善するといわれる人工股関節手術ですが、多くの問題もはらんでいます。

たとえば、"ゆるみ"の問題。人工股関節は長い年月が経つと、金属と骨との間に隙間が生じてくることがあります。これが人工股関節の最も大きな問題で、現在、多くのメーカーから発売されている人工股関節はすべてゆるみが発生する危険性があります。10年間で5%程度の発生率です。

他にも、感染症や手術後に下肢を無理な位置にすると、大腿骨人工骨頭がはずれる(脱臼)ことがあります。こうした問題も、やはり"人工物"埋め込みという限界があるように思います。

今後、耐用年数の問題だけでなく、こうした問題も解決されるのでしょうか。