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今日の一問一答(2007/03/09):各論V-4「虚血性心疾患」
急性心筋梗塞の早期合併症(2週以内)には房室ブロックがある。
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答え:○(正答率 91.2%)
解説:急性心筋梗塞の合併症としては、以下のようなものがある。
・不整脈
洞房結節および房室結節は右冠動脈に支配されるので、右冠動脈すなわち下壁梗塞に合併することが多い。心筋壊死、心不全とそれに伴うアシドーシス、自律神経系の異常などによって誘発される。 さらに不整脈が心不全を増悪させるという悪循環を形成する。
[頻拍]
1)心室性期外収縮
心筋壊死に伴なって心筋自動能の亢進・伝導障害・再分極・交感神経の刺激亢進などが生じ、これらが心室性期外収縮に由来する頻拍を招く。しばしば壊死部が原発部位となる。
2)心室細動
[徐脈]
1)洞性徐脈
洞房結節への血流障害に起因する。
2)伝導障害
下壁梗塞も前壁梗塞もともに伝導障害をきたしうる。 しかし左冠動脈前下行枝はHis束をはじめ左脚や右脚を栄養しているので、下壁梗塞に合併する房室ブロックに比べて重篤な不整脈を伴ないやすい。
3)房室ブロック
右冠状動脈が閉塞した場合は、洞房結節の虚血による徐脈や房室結節の虚血による房室ブロックが生じる。
4)右脚ブロック RBBB
右脚は左冠動脈の前下降枝 LAD に支配されるから、前壁梗塞によって発症する。
・心臓性肺水腫
左心不全によって左心が血液を駆出できないと、肺の鬱血により肺毛細管圧が上昇し、肺水腫を招く。 症状としては起坐呼吸や心臓喘息などの呼吸困難が現れる。
・心原性ショック cardiogenic shock
心拍出量が急激に減少したために全身の循環不全が生じる。
・脳血流の減少による脳梗塞
急性尿細管壊死による急性腎不全
心破裂
初回の貫壁性梗塞や高血圧を基礎に持つ症例に生じやすく、経過が急激であるため救命は困難である。 危険因子は高血圧の持続をはじめ高齢者・ST再上昇・胸痛などである。
・心筋梗塞後症候群,Dressler症候群
貫通性梗塞の場合に、壊死細胞由来の自己抗体に対する免疫応答が生じ、線維素性心外膜炎を生じたもの。
・心室瘤 ventricular aneurysm
梗塞を起こした心室壁が心内腔からの圧力によって外方へ膨張したもの。
・脳塞栓
特に前壁梗塞や左心室内血栓が見られる場合には発症の危険が高くなる。
・乳頭筋不全
下壁梗塞後に僧帽弁の腱索が断裂し、乳頭筋不全によって僧帽弁閉鎖不全症となる。 心筋梗塞後から3〜5日目頃に生じやすい。
・心室中隔穿孔
前壁梗塞に生じやすく、心室中隔欠損と同じ病態となる。
今日の一問一答(2007/03/09):各論V-4「虚血性心疾患」
急性心筋梗塞の早期合併症(2週以内)には房室ブロックがある。
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答え:○(正答率 91.2%)
解説:急性心筋梗塞の合併症としては、以下のようなものがある。
・不整脈
洞房結節および房室結節は右冠動脈に支配されるので、右冠動脈すなわち下壁梗塞に合併することが多い。心筋壊死、心不全とそれに伴うアシドーシス、自律神経系の異常などによって誘発される。 さらに不整脈が心不全を増悪させるという悪循環を形成する。
[頻拍]
1)心室性期外収縮
心筋壊死に伴なって心筋自動能の亢進・伝導障害・再分極・交感神経の刺激亢進などが生じ、これらが心室性期外収縮に由来する頻拍を招く。しばしば壊死部が原発部位となる。
2)心室細動
[徐脈]
1)洞性徐脈
洞房結節への血流障害に起因する。
2)伝導障害
下壁梗塞も前壁梗塞もともに伝導障害をきたしうる。 しかし左冠動脈前下行枝はHis束をはじめ左脚や右脚を栄養しているので、下壁梗塞に合併する房室ブロックに比べて重篤な不整脈を伴ないやすい。
3)房室ブロック
右冠状動脈が閉塞した場合は、洞房結節の虚血による徐脈や房室結節の虚血による房室ブロックが生じる。
4)右脚ブロック RBBB
右脚は左冠動脈の前下降枝 LAD に支配されるから、前壁梗塞によって発症する。
・心臓性肺水腫
左心不全によって左心が血液を駆出できないと、肺の鬱血により肺毛細管圧が上昇し、肺水腫を招く。 症状としては起坐呼吸や心臓喘息などの呼吸困難が現れる。
・心原性ショック cardiogenic shock
心拍出量が急激に減少したために全身の循環不全が生じる。
・脳血流の減少による脳梗塞
急性尿細管壊死による急性腎不全
心破裂
初回の貫壁性梗塞や高血圧を基礎に持つ症例に生じやすく、経過が急激であるため救命は困難である。 危険因子は高血圧の持続をはじめ高齢者・ST再上昇・胸痛などである。
・心筋梗塞後症候群,Dressler症候群
貫通性梗塞の場合に、壊死細胞由来の自己抗体に対する免疫応答が生じ、線維素性心外膜炎を生じたもの。
・心室瘤 ventricular aneurysm
梗塞を起こした心室壁が心内腔からの圧力によって外方へ膨張したもの。
・脳塞栓
特に前壁梗塞や左心室内血栓が見られる場合には発症の危険が高くなる。
・乳頭筋不全
下壁梗塞後に僧帽弁の腱索が断裂し、乳頭筋不全によって僧帽弁閉鎖不全症となる。 心筋梗塞後から3〜5日目頃に生じやすい。
・心室中隔穿孔
前壁梗塞に生じやすく、心室中隔欠損と同じ病態となる。