産経新聞によると(小児科医の自殺、労災認定 「医療改善の第一歩に」)、平成11年8月に自殺した小児科医、中原利郎さん(享年44歳)の遺族が、労災保険法に基づく遺族補償給付金を受けられないのは違法として、不支給を決定した新宿労働基準監督署の処分取り消しを求めた訴訟の判決で、東京地裁は14日、自殺を労災と認め処分を取り消した。佐村浩之裁判長は、中原さんの自殺が過労が原因の鬱病によるものだったと認めた。

8回の宿直勤務をこなした。その後も、部長代行として辞めた2人の後任確保に腐心しており、中原さんに仕事以外で心理的負荷をかけるようなことはほぼなかったことなどから、平成11年3〜4月に仕事が原因で鬱病になり、自殺したと結論付けられた。

当直の前後は平常勤務で、勤務時間は連続24時間以上に及んでいた。4月は連続32時間勤務が4度もあった。いつ呼ばれるか、いつ終わるか分からない勤務態勢の中で、疲労が積み重なり、「病院に殺される」とさえ家族に語っていたという。

ご家族の悲しみや憤りが、ようやく裁判での勝訴に結実したのでしょうね。

新宿労働基準監督署に労災申請したが、当直について「診療していない時間は寝られるはず」とし、勤務時間と認められなかったという。何とも実情を無視した判断で、ひどい扱いを受けておられたようです。

「医療崩壊」などと叫ばれ、もはや明るい道はないといわれているようですが、このニュースで一つとても勇気づけられることがありました。

利郎さんは自殺する前、医学部受験を希望する長女の千葉智子さん(25)に「医者にだけは、なってくれるな」と厳しく言っていた。だが智子さんは、父の亡きがらを前に「それでも私は医者になりたい」と言い、医師の道を選んだという。昨年春、医師免許を取得した智子さんは、利郎さんと同じ小児科医を目指して2年間の臨床研修に臨んでいるそうです。

キツイと分かっている労働環境に、敢えて飛び込むという千葉智子さんの姿が、何かを変えてくれるのではないか、と期待しております。

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