ロックバンド「モップス」でデビューし、近年は脇役としてドラマでも活躍していた俳優の鈴木ヒロミツ(本名・弘満)さんが14日午前10時2分、肝細胞がんのため東京都千代田区の病院で死去した。60歳だった(鈴木ヒロミツさん急死、60歳…GS出身、マルチに活躍)。

所属事務所のホリプロによると、鈴木さんは昨年末に腹痛を訴えるようになり、年明けに都内の病院で検査。数日後、すでに末期の肝細胞がんで、余命3か月の告知をうけた。複数の病院に行ったが診断は変わらず。余命を家族とともに過ごしたいという本人の希望で、入院せず自宅療養していた。

週1度、通院していたが、徐々に病状が悪化。通院日だった13日、そのまま入院し、翌朝帰らぬ人となった。病室では長男・雄大さんの名前を呼び続けていたという。最期は妻、長男にみとられ、呼びかけにうなずいたりする中、おだやかに永眠した。


肝臓に原発する癌の分類としては、肝細胞癌と胆管細胞癌が95%を占め、残りの5%には、小児の肝癌である肝細胞芽腫、成人での肝細胞・胆管細胞混合癌、未分化癌、胆管嚢胞腺癌、カルチノイド腫瘍などのごくまれな癌があります。

成人では、肝臓癌の大部分(90%)は肝細胞癌です。

年齢別にみた肝臓癌の罹患率は、男性では45歳から増加し始め、70歳代に横ばいとなり、女性では55歳から増加し始めます。年齢別にみた死亡率も同様な傾向にあります。

肝癌は、肺癌や子宮頸癌と並び、主要な発生要因が明らかになっている癌の1つです。最も重要なのは、肝炎ウイルスの持続感染です。ウイルスの持続感染によって、肝細胞で長期にわたって炎症と再生がくり返されるうちに、遺伝子の突然変異が積み重なり、肝癌への進展に重要な役割を果たしていると考えられています。

肝炎ウイルスにはA、B、C、D、Eなどさまざまな肝炎ウイルスが存在しています。肝癌と関係があるのは主にB、Cの2種類です。

世界中の肝癌の約75%は、B型肝炎ウイルス(HBV)およびC型肝炎ウイルス(HCV)の持続感染によるものです。日本では、肝細胞癌の80%がHCV、15%がHBVの持続感染に起因すると試算されています。このため、日本の肝がんの予防としては、肝炎ウイルス感染予防と、肝炎ウイルスの持続感染者に対する肝癌発生予防が柱となります。

肝癌は、B型、C型肝炎ウイルスが正常肝細胞に作用して突然変異を起こさせて発生するものと推定されています。したがって、B型、C型肝炎ウイルスに感染した人は、肝がんになりやすい「肝癌の高危険群」と言われています。

肝癌に特有の症状は少なく、肝炎・肝硬変などによる肝臓の障害としての症状が主なものです。わが国の肝癌は、肝炎ウイルスの感染にはじまることが大部分であり、肝炎・肝硬変と同時に存在することが普通です。肝炎・肝硬変のために医師の診察を受ける機会があり、肝癌が発見されるというケースが多くみられます。肝炎・肝硬変の症状といえば、食欲不振、全身倦怠感、腹部膨満感、便秘・下痢など便通異常、尿の濃染、黄疸、吐下血、突然の腹痛、貧血症状(めまい・冷や汗・脱力感・頻脈など)が挙げられます。

また、癌の進行程度をあらわすステージ分類としては、日本肝癌研究会の定めた「原発性肝癌取扱い規約(第4版)」によると

肝がんが、1)直径2cm以下である、2)1個だけである、3)血管侵襲(がんが血管の中に入り込んでいる状態)がない、という条件のうち
ステージ1:1)、2)、3)のすべてに合致
ステージ2:1)、2)、3)の2項目に合致
ステージ3:1)、2)、3)の1項目のみに合致
ステージ4:1)、2)、3)の1項目も合致しない
さらに、リンパ節転移があるもの、遠隔転移(肝臓以外の身体部分に転移がある)は、1)、2)、3)にかかわらずすべてステージ4となります。

痛み止めを飲んで静養なさっていたとのことですから、おそらく骨転移をきたしており、鈴木さんの場合は、ステージ4で緩和ケアしか出来ない状態だったと思われます。

「沈黙の臓器」などと呼ばれ、なかなか症状がでない恐ろしさがある肝炎・肝癌。検査で判明した場合は、治療をうけることが重要であると考えられます。

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