映画やテレビドラマで活躍した俳優の船越英二(本名・栄二郎)さんが17日午後10時57分、脳梗塞のため、静岡県内の病院で亡くなった。84歳だった。

15日に神奈川県内の自宅で倒れ、静岡県内の病院で手当てを受けていた。長男で俳優の船越英一郎(46)は、主演映画の撮影後、病院に向かったが、最期を看取ることはできなかった。

船越さんは15日朝、自宅で倒れ、救急車で病院に運ばれた。英一郎が所属するホリプロによると、この時はわずかに意識があり、検査後、集中治療室で経過を見ていた。

16日夜に容体が急変。「マリ−」の撮影現場で、洋子さんから電話連絡を受けた英一郎は、病院に向かい、17日早朝に父に対面した。その時、船越さんの意識はなく、英一郎は千葉県内で行われていた同映画のロケに戻った。同日夜、英一郎が病院に向かっている途中、船越さんは琴子さん、娘夫婦に看取られ、眠るように亡くなった。

平成11年に俳優を引退した後は、神奈川県内の自宅で妻の琴子さん、長女の洋子さん夫婦と暮らしていた。趣味の庭いじりや、琴子さんとの旅行が日々の楽しみ。40代から心臓に疾患があったというが、亡くなるまで健康だったという。
(84歳誕生日に…昭和の名優・船越英二さん死去)


脳梗塞とは、脳の細動脈に血栓、凝固塊、脂肪塊、石灰片、腫瘍塊などが詰まって血流を止めてしまうため、脳細胞が壊死する病気です。

脳梗塞には脳血栓と脳塞栓の2通りがあります。血栓は血液凝塊が血管内にできて、その部位に留まっているもの。塞栓は、血液凝塊が発生した部位から体の他の部位に移動して詰まらせるものです。動脈硬化などがあると詰まりやすく脳梗塞になりやすいとされています。

脳動脈から供給されていた酸素や栄養物が止まると脳神経が壊死になるのが脳梗塞発作で、脳梗塞は次の3タイプがあります。
1)ラクナ梗塞(41%):高血圧の人に多く、脳の細い血管が詰まるタイプで特に睡眠時に多く発症します。梗塞部が小さいので症状が全くでないか、でても比較的軽いのが特徴です。
2)アテローム血栓性脳梗塞(34%):生活習慣病の糖尿病、高血圧、高脂血症による動脈硬化で脳の太い動脈や頚動脈が詰まるタイプで特に睡眠時に多く発症します。
3)心原性塞栓症(18%):心房細動、急性心筋梗塞、心臓弁膜症により心臓内にできた血栓が脳血管をふさいだ時に突然の発作としておこるタイプで日中活動時に多く発症します。

船越さんは心疾患をもたれていたようですので、心原性塞栓症の可能性があったのではないかと思われます。心原性塞栓症は脳梗塞患者の20%を占め、60〜70歳代の人に多くみられます。心房細動(心房が1分間に約300〜500回と正常の5倍以上の速さで不規則に細かくふるえて正常な拍動ができない状態)により心臓内の血液が停滞してできた血のかたまりや血栓が脳血管を詰まらせて、血流がストップし脳組織が壊死した状態が心原性脳梗塞です。

最近では、巨人軍の長島茂雄名誉監督が2004年3月5日に心原性脳梗塞で東京女子医大病院に入院されています。

また、意識障害があったようですが、脳塞栓症ではこのように一気に意識を消失するようなことが起こるようです。一方、脳血栓では症状が数日かけてゆっくり出現することが多いようです。

診断としては、脳梗塞が疑われる場合、病変の起きた部位を確認するために、CT、MRI、脳血管撮影などの検査を行います。とくに、心源性脳梗塞症の場合は、心房細動が原因となるのでホルター心電図(24時間心電図)をとって調べます。

治療法としては、急性期には抗血栓療法、脳保護療法、抗脳浮腫療法があります。抗血栓療法には、血小板の働きを抑えて血栓ができるのを防止する抗血小板療法とフィブリンができるのを防止する抗凝固療法があります。

近年、組織プラスミノーゲンアクチベータ(tPA)という血栓溶解剤を用いた血栓溶解療法が欧米では実施され、わが国でも2005年10月より健康保険に導入されました。脳保護療法には活性酸素の働きを防止するエダラボンという薬剤を発症後24時間以内に使用すると後遺症が軽減されます。
 
脳梗塞を起こした部位が1〜2日するとむくみが起こるので、抗脳浮腫療法により脳浮腫の原因となる水分を取り除きます。脳梗塞になって3時間以内の場合は血栓や塞栓を溶かす薬を使って治療します。薬が効いた場合には詰まった脳動脈が再度開通し、血流が流れます。脳循環の改善薬や血栓・塞栓を予防する薬を使います。発症時にカテーテルを使い血管の血流を再開通させることも可能です。頚動脈の血栓内膜剥離術とバイパス手術により脳血流を改善させる手術も行います。

また、回復期にはリハビリが行われ、日常動作をできるだけ回復させたり、残された機能を最大限に引き上げて、家庭復帰や職場復帰をさせるために行います。

【関連記事】
植木等さん肺気腫による呼吸不全で亡くなる

栃東 「頭に異常(脳梗塞)があるのは怖い。続けるかどうかは半々」

江守徹 脳梗塞で新ドラマ降板・入院