フジテレビは、昨年9月放送の情報バラエティー番組「恐怖の食卓」でADHD(注意欠陥・多動性障害)を取り上げた際の表現に、誤りや行き過ぎがあったとして、局のホームページに3月末に謝罪文を掲載した。その謝罪文とは、

"平成18年9月28日(木)午後7時から8時54分放送の「恐怖の食卓」におきまして、AD/HD(注意欠陥/多動性障害)の発症原因の1つに食生活があるとの内容を放送しました。

本番組は視聴者の皆様の食生活への関心と理解を深めてもらうため、出演者の日常における食生活の内容を医学の専門家の意見に基づいて分析し、健康維持の一助になる情報を提供する事が、主な制作の意図でした。

しかしながら、AD/HDと食事との因果関係は現代医学でも未だ十分に解明されておりません。そのような状況の中、食事が発症原因の一つと表現してしまったことは、誤りであったと思います。また、将来的にAD/HDが少年犯罪と関連するかのような表現を用いた点については、行き過ぎたものと反省しております。

今回の番組放映により、実際にAD/HDと診断されている方々と保護者の方々、およびその治療に日々取り組んでおられる関係者の皆様にご迷惑をお掛け致しました。
深くお詫び申し上げます。"

とのこと。


ADHD(AD/HD: Attention Deficit / Hyperactivity Disorder)は多動性、不注意、衝動性を症状の特徴とする発達障害の一つと言われているが、DSM-IV-TRでは行動障害に分類されています。

注意力を維持しにくい、時間感覚がずれている、様々な情報をまとめることが苦手などの特徴があります。日常生活に大きな支障をもたらすが適切な治療と環境を整えることよって症状を緩和することも可能である。脳障害の側面が強いとされしつけや本人の努力だけで症状などに対処するのは困難であることが多いそうです。

AD/HDの原因としては、健常の前頭前野は行動を注意深く選定し大脳基底核(basal ganglia)は衝動性を押さえる働きを持つがADHDのケースではそれがうまく作動していないとのこと。

こうしたことがどういった機序で起こってくるのか不明です。その点に関して、上記のような断言的な放送は慎むべきであったと考えられます。

とくに、AD/HDと診断されたお子さんをお持ちの保護者の方々は、放送をごらんになって、自身の過失を問われるような感覚をもたれてしまった方もいらっしゃるのではないでしょうか。視聴者の方々が、どのような背景をもった人たちなのか、放送によってどのような反応があるのか、厳密に考える時期に来ているのかも知れません。

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