院内感染でなく、地域や学校での広がりが懸念される「市中型」のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)のうち、強毒性の菌に感染した関東地方の1歳男児が昨年、重い肺炎で死亡していたことが1日、分かった。
 
市中型MRSAは欧米などで問題化しているが、日本で市中型による死亡例が確認されたのは初めて。専門家は「市中型の中でも強毒菌はまれで、過剰に心配する必要はないが、感染拡大に備え監視を強める必要はある」と指摘している。
 
治療に当たった北里大病院(神奈川)によると、男児は発熱やせきなどの症状で別の総合病院で受診、肺炎と診断された。その後、北里大病院に入院し、抗生物質投与などの治療を受けたが容体が悪化。入院から約10日後に死亡、血液からMRSAが検出された。

MRSAはこれまで、入院患者に広がる院内感染の原因菌として知られてきたが、院内感染型と市中・強毒型、市中・弱毒型の3種類がある。男児にはそれまで入院経験がなく、菌の遺伝子構造も病院外で感染を広げる市中型と一致。白血球を壊す毒素をつくる強毒菌だったことも判明した。
(強毒性細菌、初の病院院外発症 1歳男児死亡、感染拡大の恐れも 抗生物質効かないMRSA)


強毒性の市中型MRSAによる肺炎が初めて国内でも報告されたようです。
MRSAとは、抗生物質「メチシリン」に対する薬剤耐性を獲得した黄色ブドウ球菌の意味であるが、実際は多くの抗生物質に耐性を示す多剤耐性菌です。

MRSAは黄色ブドウ球菌が耐性化した病原菌であり、黄色ブドウ球菌と同様に常在菌のひとつと考えられ、健康な人の鼻腔、咽頭、皮膚などから検出されることがあります。

そもそも薬剤耐性菌であるため薬剤の使用が多い病院で見られることが多く(耐性菌は抗生物質の乱用により出現すると言われている)、入院中の患者に発症する院内感染の起炎菌としてとらえられています。しかし病原性は黄色ブドウ球菌と同等で、健康な人にも皮膚・軟部組織感染症などを起こしえます。病院外での発症が最初に確認されたのは1960年代にさかのぼるが、近年では健康な人のごく一般的な感染症の起炎菌として見つかることもあり、本菌が病院から街中へと広がっていることが示唆されています。

代表的な治療薬はバンコマイシン、テイコプラニン、アルベカシンである。2006年4月、リネゾリドが新薬として承認されました。菌種(クローン)によっては、ミノサイクリンやレボフロキサシン、クリンダマイシン、スルファメトキサゾール・トリメトプリムなどが、有効か中等度有効であることがあります。
「抗菌薬使用のガイドライン」ではバンコマイシン、アルベカシンを第一選択薬とし、効果が得られなかった場合などにテイコプラニン、リネゾリドを使用するよう推奨されています。

しかし問題となるのは、これらに対しても、耐性が起こってくることでしょう。早急に抗生物質の乱用を止め、起因菌をしっかりと把握してからの使用などが求められています。

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