アスベスト(石綿)を吸い込んだことが原因で発症するとされるがんの一種「中皮腫」の有効な治療法を探るため、兵庫医大(兵庫県)や国立がんセンター(東京都)など、全国30カ所以上の病院が近く臨床試験を始めることが1日、分かった。
 
試験の結果は国の中皮腫データセンターに蓄積され、新たな治療法や早期診断法の開発に役立てられる。石綿禍に苦しむ患者を救済する医療が、全国レベルのネットワークでスタートする格好だ。
 
平成17年6月に兵庫県尼崎市のクボタ旧神崎工場周辺の住民被害が明らかになるまで、中皮腫は仕事で石綿を扱う労働者に限られると考えられており、「一般性がない」としてがん専門医の関心外だった。このため石綿による中皮腫の基礎的な研究はほとんど行われておらず、治療法についても外科手術か抗がん剤投与に頼っているのが現状となっている。
 
臨床試験は、文部科学省の18年度予算で計上された、科学技術振興調整費をもとに行われている「アスベスト関連疾患への総括的取り組み」の一環。中皮腫治療の実績がある兵庫医大などが、具体的な試験方法を設定した。
(中皮腫 全国で臨床試験へ 30以上の病院、治療法探る)


中皮腫とは、中皮細胞由来の腫瘍の総称です。中皮とは、上皮の一種で、心膜、胸膜、腹膜などをつくっている上皮の事を特別に呼ぶときの名前です。上皮とは、細胞がシート状に並んで境界をつくっている組織のこと。中皮はそのうちの一部をさします。

中皮腫は悪性のもの、良性のものの双方がある。発生場所は、胸膜が多く、他に腹膜、心膜などがあり、それぞれ胸膜中皮腫、腹膜中皮腫、心膜中皮腫という。中皮腫はアスベスト(石綿)との関連で論じられることが多い。この場合の中皮腫は、ほとんどが悪性胸膜中皮腫のことです。

初期は無症状。進行すると呼吸困難、胸痛、胸水などを行います。検査、診断では、
胸部X線写真、胸部CTや胸水の細胞診、組織生検などを行って診断します。

ほとんどの場合、アスベスト被曝が原因とされ、被曝から発病までの期間は、一般的に30〜40年くらいといわれる。ただし、具体的な発生機序は判明していません。

治療は、外科手術(初期の場合は胸膜と肺の摘出)、放射線治療、化学療法(あまり奏効する薬剤は無いとされていたが、悪性胸膜中皮腫治療薬としてアメリカで2004年、日本では2007年1月にペメトレキセド[商品名アリムタ®]が承認され、シスプラチンとの併用である程度の効果をあげている) などがあげられます。