ラジオ波を用いて過剰に増殖した気道の筋組織を焼灼する新しい治療法が、喘息患者の呼吸を楽にし、症状および薬の使用を減少させるのに有効であることが明らかにされ、米医学誌「New England Journal of Medicine」3月29日号で報告された。「気管支熱形成術(bronchial thermoplasty)」と呼ばれるこの手技は、米国食品医薬品局(FDA)の承認を得るために、現在、さらに大規模な試験を進行中である。

熱形成術は、ラジオ波を放出するワイヤーを肺に挿入し、ラジオ波の熱によって気道の平滑筋を焼灼するもの。この治療の基礎となっているのは、気道周辺の平滑筋の収縮により気道が狭窄するという概念で、「収縮が誘発されても、筋肉の量が少なければ収縮しない」と、カナダ、マクマスター大学准教授のJohn D. Miller博士は述べている。

今回の研究では、中等度から重度の喘息患者112人を対象に、半数には熱形成術を3セッション実施し、残りの半数には通常の薬物療法のみを実施した。1年後、熱形成術群の呼気流量が1分あたり39リットルであったのに対して、標準治療群では8.5リットルであった。また、喘息症状のない日は熱形成術群では平均40日、標準治療群では17日であった。

現在は、この結果に基づき、対照として偽処置群を加えた新たな研究が実施されている。米ハーバード大学医学部准教授のElliot Israel博士によると、この最新の研究では、喘息患者350人の登録がすでに完了し、それぞれ第2セッションから第3セッションまでの異なる治療段階にあるという。被験者を2年間追跡し、治療結果を評価する予定。同氏によれば、生きた筋細胞には炎症を亢進させる化学物質や生物学的シグナルを産生する働きがあることから、気道を広げる以外の効果も期待できるという。
(気道平滑筋を焼灼する新しい喘息治療法)


喘息は、空気の通り道である気道(気管支など)に炎症が起き、空気の流れが制限される病気です。気道はいろいろな吸入刺激に過敏に反応して、発作的に咳、“ぜーぜー"と気管支が鳴る喘鳴、呼吸困難が起きます。気流制限は軽いものから死に至るほどの高度のものまであり、自然に、また治療により回復し可逆的です。

ですが、長く罹っている成人の喘息患者の気道では、炎症とその修復が繰り返される過程で気道の壁が厚くなって、気流制限が元に戻り難くなり、気道の敏感さも増します。

気道を広げることや、「生きた筋細胞には炎症を亢進させる化学物質や生物学的シグナルを産生する働きがあること」から、これを焼灼することで過敏性・炎症を軽減することで喘息を治療しようというものと考えられます。

治療結果は、「1年後、熱形成術群の呼気流量が1分あたり39リットルであったのに対して、標準治療群では8.5リットルであった。また、喘息症状のない日は熱形成術群では平均40日、標準治療群では17日であった」とのことなので、かなり効果はありそうです。"喘息と共存する"という治療方針から、根治へと向かう時代がくるかもしれません。