糖尿病の兆候がなかったのに突然発症し急激に悪化する「劇症1型糖尿病」は、特定の白血球の型を持っていると発症する危険性が高まることを、大阪医科大学の花房俊昭教授らのグループが突き止め、大阪市で開催中の日本医学会総会で6日発表した。劇症1型糖尿病は原因も含め未解明な部分が多いが、白血球の型から発症リスクをつかめる可能性が出てきた。

劇症1型糖尿病は血糖を調整するインスリンが分泌されなくなる1型糖尿病患者の約2割を占める。40歳前後で発症し、女性では妊娠中や出産後の発症が多い。初期症状が風邪や胃腸炎に似ているので見過ごしやすく、数日で死亡する例もある。ウイルスなどが発症に関係している疑いが強いが、詳細は分かっていない。
(劇症1型糖尿病「特定白血球で発症」)


1型糖尿病とは、膵臓のランゲルハンス島でインスリンを分泌しているβ細胞が死滅する病気です。血糖を下げるホルモンであるインスリンの分泌が低下するか、ほとんど分泌されなくなるため血中の糖が異常に増加します。

血中に自らの膵細胞を攻撃する自己抗体が認められるものを1A型(自己免疫性)、ないものを1B型(特発性)と分類します。「劇症1型糖尿病」とは、1型糖尿病のなかでも数日間でインスリンが枯渇するさらに危険な病気です。

この発症に特有な白血球、さらにはウィルス感染が関わっているかもしれないという研究だそうです。この白血球の検出によって、診断に役立てることができれば、見逃すことが無くなるかもしれません。

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