高脂血症の治療薬「フィブレート製剤」に、睡眠のリズムなどを刻む「体内時計」を調節する働きがあることを、産業技術総合研究所生物時計研究グループ(茨城県つくば市)などの研究チームが突き止めた。

睡眠障害を持つマウスにこの薬を飲ませたところ、いつもより早起きし、正常マウスと同じように活動することがわかった。研究チームは今後、この治療薬を飲んでいる患者に早起きの傾向があるか調べ、睡眠障害の治療薬の開発につなげていきたいとしている。

研究チームは、この薬を飲む時間帯と効き方との関係をマウスを使って調べた際、薬を飲むマウスが早起きになっていることに気付いた。薬を含むエサを食べたマウスは3時間ほど活動する時間帯が早くなり、起きる時間が遅くなる「睡眠相後退症候群」の症状を持つマウスに与えたところ、症状が改善したという。

この薬が体内時計を調節する仕組みは不明だが、同研究グループの大石勝隆・主任研究員は「時差ぼけの改善などにも効果が期待できる」としている。
(高脂血症の治療薬で早起き?睡眠障害治療薬の開発に期待)


睡眠障害とは、入眠、睡眠に何らかの異常のある状態を指します。

大きくわけて、4つに分類され、
1)睡眠異常:睡眠自体が疾患であるものを指す。不眠症、ナルコレプシー、睡眠時無呼吸症候群、睡眠相後退症候群など。

2)睡眠時随伴症:睡眠中に見られる異常な行動。夜驚症、夜尿症、催眠麻痺など。

3)内科・精神科的睡眠障害:精神病や不安障害、うつ病などに伴う不眠や過眠。

4)その他:未だ分類が正確になされていない、短時間睡眠者や長時間睡眠者など。

となっています。今までは、睡眠薬やブライトライトによる光療法などが用いられていましたが、今回のような薬があれば、入院治療などではなく、外来でも手軽に治療できそうです。睡眠障害に悩む人は多いようですので、早めに使用できるようになれば、と期待です。

【関連記事】
劇症1型糖尿病「特定白血球で発症」

1つの幹細胞から心臓を造り出す技術開発に成功