乳がんや卵巣がんの発症リスクを高める遺伝子を持たない受精卵だけを検査で選別して妊娠、出産につなげる試みが、英国で近く承認される見通しであることが26日分かった。同日付の英紙タイムズが「初の試み」として報じた。

ロンドン大病院の研究者が政府に申請した。英国では従来、発症率が90〜100%と高い病気への受精卵診断が認められてきた。しかし今回対象となる遺伝子は、発症の危険を高めはするが必ず発病するとは限らない。

このため同国内では「病気を発症しない受精卵まで処分される恐れがある」と、対象の拡大に批判が出ている。

問題の遺伝子はBRCA1。これに異常があると、大人になってからがんになるリスクが60〜80%高まる。
(受精卵診断:乳がん遺伝子も 初の試み、英国で承認へ)


BRCA1(ヒト乳癌細胞中の腫瘍抑制因子として機能)は、RNAポリメラーゼ(ホロ酵素)に結合する核(リンタンパク質)です。

遺伝的乳癌の約45%、遺伝的乳癌と卵巣癌を合わせると80%以上では、BRCA1の突然変異が、癌の原因であると予測されます。アミノ末端DNA結合薬指モチーフ、核局在化シグナル、および酸性カルボキシル末端領域をもつことから、BRCA1は転写調節因子として機能するかもしれません。

また、BRCA1は分泌増殖阻害タンパク質としても機能するグラニン様タンパク質でもあります。通常は、BRCA1は乳房上皮細胞の負の増殖調節因子として働きます。乳癌では、この機能は突然変異もしくは遺伝子発現の変更によって損なわれます。BRCA1は酸化的DNA損傷の転写共役修復に関与します。BRCA1はヒト17番染色体の81kbにわたる領域に存在し、24のエキソンからなります。

こうした試みは、たしかに"生命の選別"として倫理的な問題を含んでいるかも知れませんが、子供の病気を未然に防ぐ、という大きな意義をもっていることも確かです。今後、こういった"遺伝子治療"によって、病気の起こる確率を次第に減らしていくことが可能になるのでしょうか。

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