人気漫才師や無党派の大阪府知事として一世を風靡した横山ノックさんが3日、75歳で亡くなった。

庶民派政治家としての「光」の経歴と、強制わいせつ事件の元被告という「影」の過去をもち、政治家としても芸人としても本格的な“復活”は果たせないままだった。

中咽頭癌のため、最近は、芸人の命とも言える「声」を病魔に奪われ、落ち込んでいたという。功罪が交錯する横山さんの訃報(ふほう)に、関係者は複雑な思いを漏らした。
(ノックさん、本格的復活果たせぬまま…声も病魔に奪われ)


有罪判決後、在阪テレビ局は「マイナスイメージが強い」と起用しなかったですが、「底抜けに明るい天性のキャラクター」(演芸関係者)の復帰を望む声が高まり、執行猶予期間を終えた2004年2月、師匠である漫才コンビの秋田Aスケ・Bスケさんの公演で舞台復帰したそうです。

2005年07月から始めたスポーツ紙での対談では、漫才師の喜味こいしさんを相手に、「舞台が一番楽しい」と語っていた、とのこと。ですが、中咽頭癌で声が出ないという状況に陥ってしまったというのは、あまりにも悲しすぎます。

中咽頭とはそもそも、上方は硬口蓋と軟口蓋との移行部、下方は喉頭蓋谷底部、前方は舌後方1/3の部位を指します。口蓋扁桃も中咽頭に分類されます。この部位にできた癌を中咽頭癌というわけです。

細かく分類すると、前壁型(舌根部、喉頭蓋谷)、側壁型(口蓋扁桃、口蓋弓)、後壁型、上壁型(軟口蓋、口蓋垂)に分類されます。

頭頸部のその他の癌と同様に、タバコおよびアルコール乱用は、中咽頭癌の発現に対する最も重要なリスク因子であるとされています。

中咽頭癌の症状は、嚥下時のしみる感じや違和感などが中咽頭癌の初期症状です。
進行するにしたがってのどの痛みや飲み込みにくい、喋りにくいといった症状が現れ、出血、呼吸困難などの生命の危機にさらされる症状の出現に至ります。

また、頸部リンパ節の腫張や健診で痰の細胞検査で悪性細胞の結果が出たといったことで受診され、検索を行ったところ中咽頭癌が原因であったということあるそうです。しかも、これらの場合には中咽頭の癌病巣が極めて小さくなかなか発見できないこともあり、丁寧な検索が必要になります。

治療としては、手術(場合によっては、+リンパ節郭清術)、さらには中咽頭癌摘出後の大きな欠損を補い、機能低下を軽減させるために腹部の筋肉・皮膚など大きい組織を移植するなどの方法がとられます(遊離組織移植)。他にも、放射線治療などがとられます。

残念な事件などはありましたが、人気漫才師や無党派の大阪府知事として存在なさっていたことは、たしかな方でした。ご冥福をお祈りしたいと思います。

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