はしかが、関東地方を中心に流行を始めている。国立感染症研究所によると、15歳以上の患者が2002年以降で最多のペースで増え続けている。東京都では高校で集団感染が発生して休校に追い込まれたケースもある。ゴールデンウイークに人が移動すると感染が拡大する恐れもあり、同研究所は予防接種などを呼びかけている。
 
感染研は全国約450の病院を対象に、15歳以上の患者の発生状況を調査。4月16日からの1週間で10―30歳代を中心に39人の患者が報告された。東京に12人が集中、長野県や埼玉県、神奈川県など関東近辺が多い。年初からの累計患者数も102人に達した。14歳以下の調査でも年初から282人の報告があり、04年以来の流行となっているという。

はしかは4―6月が流行期で発症すると特効薬もなく、成人が感染すると重症化しやすい。同研究所は「予防接種を受けていない人は受けてほしい」と呼びかけている。
(はしか流行の恐れ、15歳以上・関東中心に)


麻疹は、"はしか"とも呼ばれ、麻疹ウィルスの空気感染により起こります。
麻疹には、症状の出現する順序や症状の続く期間に個人差が少ないという特徴があります。一般的には、
1)潜伏期間
麻疹ウイルスへの曝露から、発症まで8〜12日間かかります。

2)カタル期
発症すると、発熱(39℃程度の高熱となることが多い)に、咳、鼻汁、結膜充血、眼脂といったカタル症状を伴います。発熱2〜3日目で頬粘膜にコプリック(Koplik)斑が出現します。コプリック斑を認めれば特異的な診断価値が高いです。カタル期は3〜4日間続いた後、いったん解熱します。他者への感染力は、このカタル期に最も強いです。

3)発疹期
カタル期の後にいったん解熱しますが、半日ほどで再び39〜40℃の高熱が出現し(二峰性発熱)、発疹が出現します。発疹は体幹や顔面から目立ち始め、後に四肢の末梢にまで及びます。
発疹は鮮紅色で、やや隆起している。特に体幹では癒合して体全体を覆うようになりますが、一部には健常皮膚を残します。
発熱・発疹のほか、咳・鼻汁もいっそう強くなり、下痢を伴うことも多いです。口腔粘膜が荒れて痛みを伴います。これらの症状と高熱に伴う全身倦怠感のため、経口摂取は不良となり、特に乳幼児では脱水になりやすいです。

4)回復期
解熱後も咳は強く残るが徐々に改善してきます。発疹は退色後、色素沈着を残すものの、5〜6日程で皮がむけるように取れるとも報告されています。回復期2日目ごろまでは感染力が残っているため、学校保健法により解熱後3日を経過するまでは出席停止の措置がとられます。

特異的治療法はなく、解熱剤、鎮咳去痰薬、輸液や酸素投与などの支持療法を行います。成人では、重症化しやすいので、注意が必要です。

ワクチン接種後の抗体価の低下を防ぐため、諸外国では年長幼児〜学童期に2回目のワクチン接種を行い、抗体価の再上昇(ブースター効果)を図っています。日本においても、2006年4月以降に1回目のワクチン接種を受ける児からは、就学前の1年間に2回目の接種を受けるように予防接種法が改正されました。

日本の予防接種率は低いので、発症率は比較的高いとのこと。
予防接種は、受けておいたほうがよさそうです。

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