米国Los Angeles Times紙のベテラン・スポーツ・ライターMike Pennerさん(49)は4月26日、同紙のスポーツ・コラム欄で「今日から2-3週間のバケーションを取りますが、戻ったときには新たな化身、Christine(女性名)として復帰します。私は性転換スポーツライターです」と打ち明けた。

翌27日付のLos Angeles Times紙によると、このコラムは大反響を呼び、26日夜までに電子版の同コラムのページビューは50万を超え、1000人近くの読者がコメントを残した。中には批判もあったが、ほとんどの読者がPennerさんを支持し、同紙上での公表に好意的だったという。Pennerさんは、23年間に渡って同紙のスポーツ記者としてドジャーズや、オリンピック、ワールドカップなどを担当、最近はNFLのコラムなどを執筆してきた。大柄の金髪の男性Mike Pennerから、復帰後は名前をChristine Daniels(ミドルネームのDanielから作った新名字)に変更して、背の高い赤みがかったブロンド色の長髪の女性に生まれ変わる。引き続きスポーツに関するブログを執筆するほか、「女性に変身中」と題して性転換にまつわる様々な体験を書く予定だという。

同紙は、女性としてChristine Daniels さんにインタビューしている。4−5歳の頃から女性であると感じていたDaniels さんは「私はなぜ向こうの側になれないのかと、ずっと鼻を窓に押し当てて人生を過ごしてきました。(女性であるほうが)ずっと簡単なのに」と述べた。Daniels さんは、3年ほど前から女装して外出するようになり、今年の1月ごろからホルモン療法を受け女性として過ごし始めたが、ほとんど仕事は在宅勤務だったので服装は心配しなかった。その後、ついに決意して職場や友人に性転換のことを打ち明けたが、驚いたことにほぼ全員が支持してくれたという。性転換手術を受けるかどうかについては、「時期尚早」で「かなりプライベート」なことなのでどうするかは公表しないという。

Pennerさんとしての最後のコラムを「読者の方も時とともに同意してくれることを望んでいます。ここから美しい関係が始まるということを」と結んでいる。
(「女性に性転換します」紙面上で発表したスポーツライター)


『自分の性』を規定するものとして、性自認、性役割、性指向などがあると言われています。

性自認とは、「自分の性をどのように(男性として自認しているのか、女性として自認しているのか)とらえているのか」といったこと。性役割とは、「社会の中で男性、女性のどちらとしての役割を果たすのか」というもの。性指向とは、男女のどちらを好きになるのか、ということです。

とくに、性自認、性役割などが生物学的な性と異なることで、耐え難い苦痛を感じるのが性同一性障害、と考えられています。簡潔に言えば、「心の性と身体の性が食い違った状態」といえそうです。

国内でも法整備が進み、次第に認知や理解が広まっているといえ、未だに偏見なども存在していることはたしかでしょう。そうした中で、声を上げていくのは非常に大変なことでしょうが、今回のニュースのように、メディアの中から啓蒙活動がなされることで少しずつ理解が進めば、と思われます。

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