フィリピンで横行する腎臓売買の実態を把握するため、岡山大大学院の粟屋剛教授(生命倫理)が5日、マニラ首都圏で臓器提供者(ドナー)の聞き取り調査を始めた。

国立フィリピン大の協力で6日まで数百人を目標に行う。調査結果は27日に九州大で開かれるシンポジウムで発表する。

5日は港湾地区バセコで、フィリピン大生ら約20人が「腎臓の提供理由」「罪の意識があるか」などを聞き取りした。ドナーで、船上の清掃作業で生活するフェリクス・ドゥランさん(48)は1995年に腎臓を10万5000ペソ(当時のレートで約38万円)で売り、ボートや家を購入したが「罪の意識を感じており、人生が暗転したと思う」と話した。

同国政府は臓器売買を事実上公認する制度の導入を目指し、移植患者が政府公認機関に出した寄付金を集約した基金でドナーの生活を支援する方向で検討を進めている。
(腎臓売買、マニラで数百人から実態調査…岡山大大学院教授)


「臓器売買を事実上公認する制度」…これに伴う多くの問題に関しては、十分、議論されたのでしょうか。ドナーは必要不可欠な存在ですが、国の基金による運営が今後どのようになっていくのか、不安です。

たしかに、ブラックマーケットのように無法な売買がなされるよりは、一定のルールに基づいた臓器提供のほうがいい、という考えもあるかも知れません。しかし、上記のような聞き取りで、「罪の意識」が生じている人もいる。さらには、手術に伴う危険性、合併症などの問題も生じる可能性もある。

今後、先進国の患者さんが移植を求めてフィリピンに向かう、という流れが出来るかも知れない。だが、その臓器が果たしてどのような経緯で、どのような人物のものだったのか、どうして提供したのか、といったことが蔑ろにはされないだろうか。

制度化は早計ではなかったか、とも思えるが、結果はどのようになるか分からない。
実態調査の結果が待たれる。

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