関東南部などで流行中の麻疹の15歳以上の患者が増加し、近年最も流行の規模が大きかった平成13年に迫る勢いであることが国立感染症研究所のまとめで分かった。10−20歳代が多いのが特徴。感染研は「10代、20代は活動範囲が広く、国内外への拡散が心配」と注意を呼び掛けている。

全国の約450医療機関から報告された15歳以上の患者は、年始から先月22日までに計102人。関東が多いが、長野や宮城県も増えてきた。年齢は4分の3以上が10−20歳代だった。

患者報告は3月中旬以降急増。4月16−22日の一週間の報告は39人で、前週(14人)の3倍近くに増えた。都道府県別では東京12人、長野6人、埼玉、神奈川、新潟が各3人の順。東京では4月に入り患者の発生で、都立中野工業高など2つの高校が臨時休校にし、生徒らにワクチン接種を行った。創価大も流行で同様の措置を取った。

はしかは一度かかると免疫ができ、再び発症することはない。しかしワクチンを幼少時に1回接種しただけでは、大人になるまでに免疫が低下し、はしかにかかってしまう例も報告されている。

感染研の安井良則主任研究官は、10−20歳代の患者が多い理由について「はしかにかかったことがなくワクチンを接種していない人や、免疫が低下した人が多いためではないか」と話している。
(はしか大流行 免疫低下で感染? 3/4以上が10〜20代)


麻疹に感染しているときは、細菌による二次感染の危険性が高まってまいます。
また、合併症が起こる可能性もあります。

合併症としては、
・脳・神経系の合併症
1)亜急性硬化性全脳炎(subacute sclerosing panencephalitis、略称SSPE)
この病気は麻疹に感染後数年してから発症し、ゆっくりと進行する予後不良の脳炎であります。麻疹に罹患した人の数万人に一人が発症するといわれています。まれに予防接種でも発症することがあります。
2)ウイルス性脳炎
1000人に1人くらいの割合で発症する可能性があります。ウィルス性急性脳症は、ウイルス感染を発症してから数時間〜数日後に、意識障害、痙攣、異常行動(奇声をあげる、意味のわからない発言や行動など)、不随意運動などで発症します。徐々に神経症状が悪化してくる場合もありますが、重症の場合は突然の痙攣・意識障害であることが多いです。

・咽頭〜気道系の合併症
1)麻疹ウイルスによるもの(中耳炎、肺炎、細気管支炎、仮性クループ)
2)細菌の二次感染によるもの(中耳炎、肺炎、気管支炎、結核の悪化)

などが起こります。
とくに、脳・神経系の合併症が問題となります。できれば、麻疹の予防接種を行うほうがよさそうです。

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