愛媛県西条市の市立西条北中学校が3月に開いたクラス対抗サッカー大会で、胸でボールを受けた当時3年生の男子生徒(15)が心肺停止状態となり、9日後に心不全で死亡していたことが、9日分かった。

西条市は2006年度、心臓にショックを与えて救命を図る自動体外式除細動器(AED)を市内の3中学校に配備したが、西条北中学校にはなかった。

同校によると、サッカー大会は3月12日に同校グラウンドで開催。生徒は正午ごろ、試合中にボールを胸で受けた約10秒後に倒れた。数分後には心肺が停止。救急車が到着するまでの間、教員が人工呼吸と心臓マッサージを施したが、生徒は21日、病院で死亡した。

菊池篤志校長によると、生徒に心臓病の既往症はなく、家族は病院から「ボールが当たったため死亡したとは言い切れない」と説明を受けた。校長は「非常に残念だが、学校としては考えられる手だてはすべて取った」と話している。

西条市教育委員会などによると、AEDの配備は救急車の到着まで時間がかかる地域の学校を優先し、西条北中学校は本年度中に配備する予定だった。事故後、同校にも備え付け、全教職員が講習を受けた。

大阪府岸和田市の高校では4月、野球の試合中に打球を胸に受けた2年生の投手が心肺停止状態になったが、観戦していた救急救命士がAEDで蘇生させ、助かった。
(サッカーボールが胸に、中3死亡)


こういった現象を、「心臓震盪(しんぞうしんとう)」といいます。

子供の突然死の原因としてあげられます。心臓震盪は、胸部に衝撃が加わったことにより心臓が停止してしまう状態です。多くはスポーツ中に、健康な子供や若い人の胸部に比較的弱い衝撃が加わることにより起こります。

子供に多いのは、発育過程にあり胸郭がまだ軟らかいので、前胸部へ加わった衝撃が心臓へ伝わりやすいと考えられています。

どうしてこうしたことが起こるのかというと、医学的にはボールが胸を打ったことにより、「R on T」が起こり、結果として心室細動が発生してしまうことによります。R on Tとは、本来は心臓が収縮した後、休んでいるときに、「収縮しろ!」という刺激が伝わってしまう現象です。非常に危険で、致死的な心室細動を起こしてしまいます。心室細動とは、リズミカルに心臓が拍動できない状態で、全身に血液が上手く送れなくなってしまいます。

心室細動は、AEDによって蘇生できる可能性があります。
これからは、ぜひ全校にAEDを置いて、先生方がみんな使えるようになっていただきたいと思われます。

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