日本人に多い塩分のとり過ぎによる高血圧が起こる新たな仕組みを、東京医科歯科大の内田信一・准教授(腎臓内科)らのグループがマウスを使った研究で明らかにした。新しい治療薬の開発も期待できる成果で、米科学誌セル・メタボリズム5月号に発表した。

高血圧は複数の要因が重なって起きることが多く、原因ははっきりしない場合が多い。そんな中で、偽性低アルドステロン症2型という遺伝性の高血圧の場合、塩分を尿に排出する機能の異常が原因とされ、関係する遺伝子もほぼ特定されている。しかし、具体的な仕組みはよくわかっていなかった。

内田さんらは、遺伝子操作でこの病気を起こしたマウスを詳しく調べたところ、腎臓にあるたんぱく質が活性化され、尿の元になる液体から塩分を過剰に再吸収し、排出を妨げていた。その結果、体液が増えて高血圧が引き起こされていることがわかったという。

体が血圧を調整する仕組みとしてはレニン・アンジオテンシン系が知られ、今の降圧剤はこれに働きかけるものが多い。偽性低アルドステロン症2型自体の患者数は少ないが、今回わかった塩分と高血圧の関係は多くの高血圧患者にかかわると考えられる。内田さんは「レニン・アンジオテンシン系とは別の仕組みなので、全く新しい降圧剤の開発につながる可能性がある」と話している。
(塩分排出妨げ、高血圧起こす仕組み発見 新薬に期待)


日本高血圧学会によれば、収縮期血圧が140以上または拡張期血圧が90以上に保たれた状態が高血圧であるとされています。しかし、近年の研究では血圧は高ければ高いだけ合併症のリスクが高まるため、収縮期血圧で120未満が生体の血管にとって負担が少ない血圧レベルとされています。

高血圧は原因が明らかでない本態性高血圧症とホルモン異常などによって生じる二次性高血圧に分類されます。本態性高血圧の原因は単一ではなく、両親からうけついだ遺伝的素因が、生まれてから成長し、高齢化するまでの食事、ストレスなどのさまざまな環境因子によって修飾されて高血圧が発生するとされます。

治療薬としては、利尿薬やカルシウム拮抗薬、ACE阻害薬、アンジオテンシン脅容体拮抗薬、β遮断薬などがあります。今回の発見で、新たな治療薬が生まれるのかも知れません。

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