揚げ物や菓子などの食品に含まれ、心筋梗塞をはじめとする心臓疾患を引き起こすとされるトランス脂肪酸(TFA)を追放する動きが、米国を中心に広がっている。ニューヨークなどの大都市は今年から実質使用禁止に踏み切り、外食店なども対応を急ぐ。欧州やアジアも使用規制に動き始めた。日本では今のところ規制の動きはなく、消費者の間から対応の遅れを懸念する声も出ている。
 
心臓病が死因一位の米国では、ニューヨーク市が7月からファストフード店を含む全レストランに対し、調理油やマーガリンなどに含まれるTFA量を一食あたり0.5グラム未満に抑えるよう義務づける。
(トランス脂肪酸、世界で追放広がる)


トランス脂肪酸は、多量に摂取するとLDLコレステロール(悪玉コレステロール)を増加させ心臓疾患のリスクを高めるといわれ、2003年以降使用を規制する国が増えています。

人工のトランス脂肪酸は、不飽和脂肪酸から飽和脂肪酸を製造するための水素化や、不飽和脂肪酸を多く含む植物油の精製の際に、副産物として生じます。そのため、不飽和脂肪酸を多く含む油脂を水素化して製造するショートニング、マーガリン、ファットスプレッドに含まれます。

トランス脂肪酸を多く含む食品として硬化油があります。硬化油とは、融点の低い不飽和脂肪酸を多く含む油脂に水素付加を行うことで飽和脂肪酸に変換して常温で固体にしたものです。この水素付加の過程で副産物としてトランス脂肪酸が生成します。

日本では、諸外国と比較して食生活におけるトランス脂肪酸の摂取が少ないことから健康への影響が少ないと考えられるます。

一部インターネット上で反対運動がなされているのと、ごく一部の企業がトランス脂肪酸低減に取り組んでいる程度で、政府や地方公共団体、業界団体は特段の規制を行っていません。

国内で、問題を危惧する人は、原材料表示を見てショートニングやマーガリン、ファットスプレッドがない食品を個々人で選ばなければならないようです。

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