東京農工大学大学院の早出広司教授らは、新しいビタミンと考えられている「ピロロキノリンキノン」(PQQ)と呼ぶ物質に、牛海綿状脳症(BSE)や変異型クロイツフェルト・ヤコブ病を引き起こすプリオンの病原性を抑える機能があることを発見した。研究グループは「治療や予防に応用できる可能性がある」と話している。
 
プリオンは正常型と異常型の2種類がある。異常型が体内に入り込むと正常型プリオンが次々に異常型プリオンに変化してしまう。異常型プリオンはアミロイドと呼ぶ繊維となって神経細胞を侵し、脳をスポンジ状に変えてしまうとされる。
(プリオンの病原性、新ビタミンが抑制――東京農工大が確認)


プリオン(Prion)は、「感染能を持つ蛋白質因子」を示す英語(proteinaceous infectious particle)から作られた言葉です。

正常プリオン蛋白は主に神経細胞膜上に付着して存在しています。ヒトでは253個のアミノ酸からなり、C末端には約20のアミノ酸からなる疎水性領域が、N末端には22のアミノ酸からなるシグナルペプチドがあります。正常プリオン蛋白はαヘリックスに富んだ構造を持ち、現在ではαヘリックスを形成するアミノ酸十数個からなる4ヶ所のドメインも同定されています。

一方、αヘリックスに富んだ正常プリオン蛋白の立体構造がβシートに富んだ異常プリオン蛋白の立体構造に変換されてしまうと考えられています。つまり、遺伝子でコードされた蛋白質のアミノ酸配列が変化するのではなく、同じアミノ酸配列を保ちながらペプチド鎖の折りたたみ構造が変換されてしまう、とのこと。

正常プリオン蛋白の生理機能も徐々に判明しつつあります。遺伝子操作で人工的にプリオン欠損マウスを作り出したところ、出生直後は正常に発育するものの、発育するにつれ運動失調や長期記憶、潜在学習能力の低下が認められます。したがって、正常プリオン蛋白は神経細胞の発育と機能維持に何らかの役割があると考えられています。

クロイツフェルト・ヤコブ病診療マニュアルによる汚染材料の消毒法としては、
・ 焼却
・ 3%SDS、100℃5分間
・ 高圧蒸気滅菌、132℃1時間
・ 1N水酸化ナトリウム液、室温1時間
・ 10,000〜50,000ppm次亜塩素酸ナトリウム液、室温2時間


と、非常に厳重に処理しなくてはならないことでも有名です。
ですので、ニュースのように新しいビタミンと考えられている「ピロロキノリンキノン」なる物質が抑制するとは、驚きです。

アルツハイマー病で、βアミロイドの増殖を防ぐ物質が発見されているように、プリオンの病原性も抑えられるようになるのかもしれません。

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