「おくさまは18歳」「パパと呼ばないで」などの大ヒットドラマで活躍した俳優、石立鉄男さんが1日、急性動脈瘤のため、静岡県熱海市の自宅で死去した。64歳だった。知人が自宅で倒れていた石立さんを見つけ病院に搬送したが、死亡が確認された。

所属事務所や熱海市消防局などによると、1日午前11時ごろ、石立さんが8年前から移り住んでいる熱海市内の自宅で、同居している知人が石立さんを起こそうと部屋をのぞくと、石立さんが倒れていたという。

手が冷たくなり、息をしていないことに気づいた知人が、午後1時15分ごろ119番通報。救急車で近くの熱海所病院に搬送されたが、死亡が確認された。関係者によると、午前1時ごろに急性動脈瘤で心臓が破裂した突然死だったという。
(64歳、急性動脈瘤で…石立鉄男さん急死)


動脈瘤は、動脈の壁内にできる膨隆(拡張)のことで、普通は大動脈にできます。
動脈瘤は動脈壁の弱くなっている部分に発生します。動脈壁の弱くなっている部分が血流によって圧力を加えられると外側に向けてふくらみます。動脈瘤を治療しないで放置すると、破裂して内出血を起こす危険性があります。

大動脈に沿ってどの部位でも動脈瘤は起こり得ますが、大動脈瘤の4分の3は腹部を通過する部分(腹部大動脈)に、残りは胸部を通過する部分(胸部大動脈)に発生します。動脈瘤は膝の裏側にある膝窩動脈、太ももの主要動脈である大腿動脈、頭部へ血液を供給する頸動脈、脳へ血液を供給する脳動脈、心筋へ血液を供給する冠動脈にも発生することがあります。

動脈瘤の主な原因は、動脈壁をもろくするアテローム動脈硬化です。まれな原因には外傷、大動脈炎、マルファン症候群のような遺伝性結合組織障害、梅毒などの感染症があります。高齢者の大動脈瘤は、ほとんどがアテローム動脈硬化によるものです。高齢者に多い高血圧と喫煙は動脈瘤のリスクを増大させます。

石立さんの場合、心破裂を伴っているので、心臓付近の胸部大動脈瘤などが考えられます。胸部大動脈瘤は何の症状もなく大きくなります。動脈瘤が大きくなり、周囲の組織が圧迫されるようになって初めて症状が現れます。したがって、症状は動脈瘤の発生する場所によって異なります。典型的な症状は痛み(普通は背中の上部)、せき、喘鳴です。

胸部大動脈瘤が破裂すると背中の上の方に激痛が起こります。この痛みは破裂が進むにしたがって背中の下の方へ、さらに腹部へと広がります。また、心臓発作の際のように胸や腕に痛みを感じることもあります。患者は急速にショック状態に至り、内出血のため死亡します。

亡くなる前に高血圧や手術などの治療を行っていれば…と悔やまれます。症状がないことが多いだけに、発見が難しかったのではないでしょうか。

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