地域の医師不足を解消しようと、地元で働くことを条件に医大生に奨学金を出す自治体が急増している。04年度は5県だったが、今年度は31府県が導入。人口10万人当たりの医師数が150人で全国ワースト2位(04年12月末時点)の茨城県では応募者が殺到し、急きょ補正予算を組む事態に。一方で希望者ゼロという県もあり明暗を分けているが、地方の市なども独自で制度化に踏み切っており、今後もこうした動きが広がりそうだ。 月10万〜20万円程度を貸与し、卒業後に指定する地域で一定期間勤務すれば返済を免除する制度が多い。免除になる期間は貸与年数と同じケースからその2倍までとさまざま。入学金や授業料を負担する自治体や特定の診療科について額を加算する例もある。

以前は離島などを抱える自治体だけだったが、3年前に国が医師免許取得後に臨床研修を義務づけ、大学病院などが研修プログラムを公開。研修医は研修先を自由に選べることから、若い医師の大都市集中に拍車がかかり、奨学金を出す自治体は05年度13県、06年度25県と増加。現在は東北6県、四国4県、島根、佐賀などが実施している。

府県以外でも06年度以降、8市1町1広域事務組合が導入。人口8万9000人の宮城県登米市は今年度から「3人程度」に月20万〜30万円を支給。今年度から月20万円の奨学金と入学金28万2000円の貸与を始める秋田県男鹿市の担当者は、「市にとっては大きな額だがここで医師になってくれれば安い」と話す。

茨城県は06年度、当初予算に600万円を計上し、県出身者で他都道府県で学ぶ医大生という条件で募集したところ、定員5人に18人が応募。急きょ1560万円を追加した補正予算を組んで全員に貸与を決めた。今年度も新規12人枠に20人が応募。県の担当者は「他県から医師を奪うみたいで恐縮だが、財政が許す限り貸与したい」と話す。

一方、徳島県と和歌山県は06年度に導入したが、希望者はなかった。厚生労働省は「対策を早急に具体化したい」としている。
(医師不足対策:31府県が奨学金タダ 医大生にUターン条件)


研修先を選ぶ理由として、研修プログラムの質や高い専門性、都市部での利便性などもありますが、この奨学金制度を見る限り、高い給与でも地方への再配分化ができるといった結果になったようです。

この制度が一般化すれば、人員不足に悩む地方も解消されそうですが、それでも問題は残るのではないでしょうか。たとえば、義務年限後もその医師が残るかどうかと言った問題や、質の高い医師が働き続けてくれるようになるのか、といった問題もある。人員は増えても高い質の医療を提供し続けられるかどうか、科ごとの人員の偏向性といったことは、相変わらず残ったままではないか。このままいけば、小児科や産婦人科の医師不足は解決されないのではないでしょうか。

結局は、研修プログラムの改善や医療スタッフの待遇改善などが若い医師を呼ぶ近道のように思われます。この制度が果たして日本の崩壊しかけた医療を救ってくれるのか、注目したいと思います。

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