感染拡大が世界で懸念されている「広範囲薬剤耐性」(XDR)の結核菌がさらに強力になり、すべての抗菌剤が効かなくなったタイプがイタリアなどで検出されたことがわかった。

世界保健機関(WHO)ストップ結核部のマリオ・ラビリオーネ部長によると「XXDR」(極度薬剤耐性)の結核菌という新名称も提案されているという。

イタリアの患者は女性2人。菌は最初から多数の抗菌剤に耐性を持っていたが、結核専門でない医療機関で様々な抗菌剤を投与され、次第にすべての抗菌剤に対する耐性がついたらしい。2人とも2003年に死亡したことが、欧州の専門誌で先月、報告された。

一方、イランでは03〜05年に結核患者約1300人の菌を調べた結果、12人が検査したすべての抗菌剤に耐性を示した。米感染症学会の専門誌に載った論文によると、12人全員が治療歴のない新規患者だった。
(あらゆる抗菌剤が効かない結核菌、イタリアなどで検出)


結核は、抗結核薬で治療を行います。現在は、耐性獲得の危険があるため単剤での治療は行いません。かならず、複数の併用療法を行います。イソニアジド (INH)、リファンピシン (RFP)、ピラジナミド (PZA)、エタンブトール (EB)(またはストレプトマイシン (SM))の4剤併用療法を行うべきであると考えられています。イソニアジドおよびリファンピシンの二者に耐性をもつ菌は多剤耐性結核菌と呼ばれ、治療に難渋することがあります。

約10種類の有効な抗結核薬があり、3〜4種類の薬を6〜9カ月間服用することで治すことができます。治療を正確に完了した場合、再発率は5%未満とされています。ですが、治療中断により結核菌に耐性ができ、集団感染することが問題となっています。

今回のケースでは、まさに耐性菌の発生が問題となっています。すべての抗菌剤に対する耐性があるとすれば、世界レベルでの脅威となると思われます。耐性菌発生および集団感染の予防のため、確実な薬の服用を目指したDOTS/直接監視下短期化学療法の実施拡大が、行わざるをえない状況になってくのではないでしょうか。

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