不妊治療を受ける女性が増えている。日本経済新聞社が、2006年に出産した30代女性を対象に5月下旬に実施した調査で、「不妊治療を受けていた」との答えが13.8%あった。少子化対策として不妊治療費の負担軽減が必要と指摘する声も43.8%に上った。出産数の過半数を占める30代女性の間で、不妊治療に抵抗感が薄れ、期待が大きいことがわかった。
 
調査は06年の合計特殊出生率が1.32と、6年ぶりに回復したことをきっかけに実施した。妻の受診率13.8%に対し、「夫が受けていた」と回答したのは3.5%だった。不妊治療を受けた回答者のうち、勤務先企業や自治体の助成制度を利用したのは15.1%にとどまった。
(30代出産女性 「不妊治療受けた」13%)


全国の不妊クリニックでつくる「日本生殖補助医療標準化機関」(JISART)は4日、友人や姉妹から提供を受けた卵子を夫の精子と体外受精させ、妻の子宮に戻す治療を、正式に認めたと発表したことなど、不妊に悩むカップルや夫婦の悩みが社会を変えつつあると言えるのではないでしょうか。

たしかに、「子供を持ちたい」という切なる願いは理解できますが、体外受精などは、一方でリスクも存在しているということも、同時に重要な問題ではあります。

体外受精による妊娠は、胎盤や臍帯に異常が発生する頻度が自然妊娠を大幅に上回るとの調査結果をはじめとした、体外受精は自然妊娠より高率の妊娠異常を伴うとの調査結果が出始めている状況があります。他にも、不妊治療で生まれた二卵性の双子の中に、男女の性染色体の細胞が血液中で混在するケースが2003〜06年の4年間に8組、同性で血液型が混在する双子も1組あったことが報告されています。

こうしたリスクを置き去りにするのではなく、しっかりと理解した上で、不妊治療に挑まれることが望まれます。また一方で、リスクを克服する新技術の開発や研究が進めば、と思われます。

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