米医療情報学会(AMA)が、ビデオゲーム中毒を精神障害に分類することを提言している。AMAは最近公表した報告書の中で、ビデオゲームの過度の利用には、ほかの嗜癖障害に似た社会的機能障害・混乱のパターンが見られること、依存症状が未成年にも起こり得ること、対象への没頭、家庭生活や学校生活の崩壊が起きることを指摘している。

このことから、同学会は「インターネット/ビデオゲーム中毒」を「精神障害の診断と統計マニュアル(DSM)IV」の次の改訂版に正式な診断名として含めることを「強く推奨」している。ゲーム中毒は、このマニュアルに掲載されている症状の中では「病的賭博」と最も行動パターンが似ているという。

同学会は、ビデオゲームの過度の利用はどの種類のゲームでも起こり得るが、そうした症状が最もよく見られるのはMMORPGだとしている。これまでの研究では、社会的に取り残された人、孤独感を強く感じている人、実生活で人との交流がうまくいかない人がこの種のゲームに没頭しやすい傾向が示唆されているという。

ほかにもAMAは、ゲーム時間を1日1〜2時間とすることや、保護者が子どものインターネット・ビデオゲームの使用を監視し、制限することを勧めている。

同学会は、ほかのメディアと同様にビデオゲームには良い効果もあるかもしれないとしながらも、ビデオゲーム業界はプレイヤーの年齢に合わない映像やマーケティングを使う傾向があり、これがてんかんなどの身体的症状や、社会的不適応行動などの副作用への懸念につながっていると指摘。政府機関や公益団体がゲームのレーティングを見直し、改善することを求めている。
(「ネット・ゲーム中毒を精神障害に分類」――米学会が推奨)


中毒症、今回の場合は依存症とも言い換えが出来るかと思われます。
依存症とは、精神に作用する化学物質の摂取や、ある種の快感や高揚感を伴う特定の行為を繰り返し行った結果、精神的、肉体的にそれらの刺激なしにはいられなくなった状態のことです。お酒やギャンブル、薬物使用などへの依存があります。

現に、WHOの国際傷害疾病分類第10版(ICD-10)において、たばこの使用は「精神作用物質による精神及び行動の障害」に分類されており、他にも病的賭博(ギャンブル依存症)などの項目が存在しています。

これらは、依存が元で生活が破綻したり、健康に害をもたらすために"病気"として定義づけられていると考えられます。たしかに、オンラインゲームに熱中し続けることで学校や仕事に行かなくなる→生活が破綻するということもあるかもしれません。

ですが、このことを元に規制を政府レベルで行ったり、制作サイドに自粛を求めたりするのはいかがなものか、と思われます。要は、家庭でプレイ時間を決めたり、子供に我慢を促すなどの対策を、いくらでも講じることができるように思われるからです。「中毒=疾患」ラベリングが横行したら、規制だらけによる閉塞感を感じてしまいます。

「私はスタバのコーヒー無しではいられない。コーヒー依存症は悪なのか?」「テレビをダラダラとみてしまう。テレビ依存症なのか?」とやりだしたら、キリがないのではないでしょうか。

「過ぎたるは及ばざるがごとし」ではないですが、何事もほどほどに愉しめるというスキルが必要なようです。

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