荏原は抗がん剤の効き目を高めるため、患部に届けやすくする製剤技術を独自に開発した。がん細胞にだけ届くよう薬をレーザーで粉砕したのち、特殊な物質で被膜してカプセル状に加工する。今後製薬会社との共同開発などを検討して量産技術の確立を急ぐ。
 
既存薬を作り直して効果を高めるこの手法は薬物送達システム(DDS)製剤技術と呼ばれる。新薬不足や主力製品の特許切れへの対応を迫られる製薬会社の関心が高い。製品化には効果や安全性を確かめる臨床試験などが必要になる。
(荏原、抗がん剤の効き目高める製剤技術)


薬物送達システム(DDS:Drug Delivery System)とは、目標とする腫瘍などの臓器などに、薬物を効果的かつ集中的に送り込む技術のことです。

薬剤は、消化管内部や肝臓での代謝を受けてしまいますが、膜などで包むことにより、途中で吸収・分解されることなく患部に到達させ、患部で薬剤を放出して治療効果を高めることができます。また、薬の効果を高めるという他にも、副作用の軽減も期待できるというメリットがあります。

今までの抗癌剤の効果を高めたり副作用を低減することで、生存率の改善や副作用で特定の抗癌剤を使用できない患者さんにも、使用できるといったことが期待できます。臨床試験の結果が待たれます。

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