乳がんの手術を受けていたことが明らかになったタレント・山田邦子(47)が16日、都内で会見した。「すごいビックリした。死ぬんだな、と思った」と当時の心境を語ったが、自身が早期発見したことによって大事に至らなかったことを踏まえ、今後は「お力になれることならやっていこうと思う」と、乳がんに対する啓蒙の講演などに積極的に取り組んでいく意思を明かした。

会見した山田に、暗さはみじんもなかった。むしろ、真剣な表情の中にも笑顔をのぞかせながら話す姿に「死ぬんだな、と思った」という境地から脱出できた喜びが十二分に感じられた。

3月に出演した乳がんをテーマにした情報番組で、自己検診の方法を知った。実践したところ、しこりを感じ病院へ。当初、医師の触診でも分からなかったが、細胞検査によって右乳房の上に2つ、左乳房の下に1つ、計3つの早期がんが確認されたのだ。

手術を受けたが、ここで誤算が。4月27日に受けた約4時間の手術では、1つの細胞が広がっていたため、切除しきれなかった。そのため、5月28日に再手術を受け、完全にがんを取り除くことに成功。その後の経過も良好という。

「2回目の手術と聞かされた時はガッカリした。でも、今はすごい元気ですよ。ゴルフもボウリングもやりました」と回復をアピール。看病をしてくれた夫とは先日、快気祝いをした。今後は19日から50日間の放射線治療を受け、さらに5年間はホルモン剤を服用するが、仕事は今まで通り続けられるという。

「最初は人ごとだと思っていた」という乳がん。自身が見舞われたことで意識も変化。今後は積極的に啓もう活動にも取り組んでいく意向だ。また治療中にやりとりした医師の言葉をメモに取ってあることも明かした。20冊近い著書があるだけに、闘病記を書き下ろす可能性も示唆した。
(山田邦子乳がん発見時「死を覚悟」)


女性の乳房は、乳頭を中心に乳腺が放射状に15〜20個並んでいます。それぞれの乳腺は小葉に分かれ、小葉は乳管という管でつながっています。乳がんの約90%はこの「乳管」から発生し、"乳管がん"と呼ばれます。また、小葉から発生する乳がんが約5〜10%あり、小葉がんと呼ばれます。

また、場所別に発生頻度が異なっており、一番多いのが上外側(C領域と呼ばれています)で、およそ半数がここに発生します。次が乳頭の付近で17%、だいたい同数が上内側(16%)と言われています。

年齢別にみた女性の乳がんの罹患率は30歳代から増加し始め、50歳前後にピークを迎え、その後は次第に減少します。女性では、乳がんにかかる数は乳がんで死亡する人の数の3倍以上です。山田邦子さんも仰っていますが、けして他人事ではありません。

ちなみに、乳癌のリスクを持っている人というのは、いずれもエストロゲンの長期並びに過剰状態を反映しており、

1)妊娠・出産歴がない
2)第一子の後
3)母乳を与えない
4)初経年齢(月経が始まった年齢)が低い
5)閉経年齢が高い
6)ホルモン療法(エストロゲン製剤、ピル等)を受けている

といった項目に当てはまる方はご注意下さい、とのことです。

山田邦子さんも、「しこり」をみつけて病院に行かれたそうです。驚くべきことに、検診で発見される人がおよそ2割しかいないとのことです。それだけ乳癌の検診率が低い、ということなのでしょう。ほとんどの方がご自身で「しこり」をみつけるそうです。その時には、平均3cm以上になってしまっている、と調査結果が出ています。

ちなみに、「自分でチェックしてみる」場合は、決して乳房をつまんではいけないそうです。正常にもかかわらず、「しこり」と誤ってしまうためです。チェックするときには、お風呂に入っているときなど、石けんで滑りをよくして三本指を揃えて表面をなぞるようにして調べるといいそうです。

日頃から気をつけ、検診も受ける、ということが乳癌の早期発見には必要なようです。

【関連記事】
乳癌の放射線治療期間が短縮可能に

「背の高い人」は乳癌になりやすい?…国立がんセンター調べ