インド・タミルナド州で、医師の夫婦が15歳の息子をギネスブックに載せるために帝王切開の手術をさせ、告発された。地元紙が21日報じた。

2人は、息子を世界で最も若い外科医として登録するために、手術の模様をビデオに録画し、他の外科医たちに見せたという。

2人の家族は、少年は父親に医療機器を渡すなど手術の補助をしただけだと主張している。インド医療当局は、事件を調査中で、2人の医師資格の剥奪もあるとしている。
(ギネス入りさせたくて、息子に手術をさせた医師夫婦)


帝王切開とは、子宮筋を切開して胎児および胎児付属物を娩出させる手術をいいます。カエサルが帝王切開で生まれたことから語源がきていると広まっていますが、実はこれは単なる伝説だという説もあります。

日本語訳の「帝王切開」はドイツ語の「Kaiserschnitt」の翻訳が最初と言われます。ドイツ語の「Kaiser=皇帝」、「Schnitt=手術」からの訳語です。「Kaiserschnitt」の語源であるラテン語の「sectio caesarea」は「切る」と言う意味の単語二つが、重複しています。これが各言語に翻訳されるにあたり、「caesarea」を本来の「切る」という意味ではなく、カエサルと勘違いしたのが誤訳の原因であるとも考えられています。

帝王切開は、経膣分娩により、母体または胎児の生命の危険性がある場合に適応となります。一般に適応となる状態は、以下のような場合があります。
・常位胎盤早期剥離
・子宮奇形
・前置胎盤
・既往帝王切開後妊娠
・児頭骨盤不均衡
・胎位異常:骨盤位(いわゆる逆子)、横位、顔位、頤位など
・性感染症:HIV感染、性器ヘルペスの妊婦は絶対適応
・Non-reassuring fetal status:児の低酸素状態などが疑われ、急速遂娩を要するが鉗子適位に無く吸引分娩、鉗子分娩が不可能な場合
・分娩停止:微弱陣痛、軟産道強靭など。薬剤などによっても陣痛の増強が得られず、また吸引分娩、鉗子分娩が不可能な場合
・子宮筋腫核出などの婦人科手術既往がある場合


手術の流れは、以下のようになっています。
1.皮膚切開
2.腹壁切開
3.子宮筋切開
4.胎児娩出
5.子宮内容物除去
6.子宮筋縫合
7.腹壁・皮膚縫合

手術方法の完成により、帝王切開そのもので死亡する妊婦はほとんどいないそうですが、それでも母体死亡率は経膣分娩の4倍から10倍とされています。

今回の少年のケースでは、術前に患者さんへのインフォームドコンセントはなされていたのでしょうか。「何事もなく手術が終わればいい」というわけでは決してありません。たとえ医師免許を剥奪されようとも、致し方のない軽率な行為であると思われます。

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