ザ!世界仰天ニュースで取り上げられていました。

ある日ヴェルナー・フォルスマンは、1861年にフランスのシャボーとマーレイという2人の医者が試みた実験を医学書で見つける。風船のついたカテーテルを、馬の心臓に挿入し、血圧を測ったというのである。この馬の実験からヒントを得て、人間の肘の静脈から、心臓まで挿入し、直接、心臓に強心剤を投与できれば、心臓周りの動脈を傷つけることもなく死なずに済む患者も多くなるのでは、と考えた。尿道カテーテルを使うつもりだった。この方法の検証と実験を上司のシュナイダー博士に相談した。しかし、シュナイダー博士は取り合わなかった。

そんなある日、ヴェルナーはゲルダに実験をさせてくれるように頼んだ。が、ゲルダは拒否。手術道具一式は、ゲルダが管理しているため、彼女の許可なしに出す事は出来ない。ヴェルナーが諦めかけたある日、ゲルダが「自分の体を実験台にするなら」と言ってきた。こうして実験の機材が用意されたが、ヴェルナーは最初からゲルダを実験台にするつもりはなく、一芝居打っただけだった。ゲルダの腕に鎮痛剤を打ったヴェルナーは、ゲルダではなく自分の腕の静脈にカテーテルを挿入。カテーテルはゆっくり血の流れに乗って、心臓へと入っていった。そしてヴェルナー達は、X線室へと向かった。ヴェルナーが、体の外に出ているカテーテルをゆっくり押すと、X線にはカテーテルの先が右心房に入っている様子が示された。

心臓カテーテルの可能性を広げたが、「人間はモルモットじゃない」「だいたい心臓に管をいれるなど、患者に言える訳がない。」など反対意見ばかりで当時の学会は、この実験結果を倫理的に認めなかった。時代は第二次世界大戦へ…ヴェルナーも軍医として徴兵され、歴史的な実験は埋もれていった。

だがそれから25年後、52歳になったヴェルナーのもとに思いもよらない知らせが届く。それは、ノーベル賞の受賞を知らせる手紙だった。実は、ヴェルナーの実験は、アメリカのクールナン博士と、リチャ―ズ博士に感銘を与えていた。2人は、患者に心臓カテーテルを使用。有効であることを証明したのだ。


心臓カテーテルは、主に以下のような目的で行われます。
・狭心症・心筋梗塞の治療方針の決定・および治療(インターベンション)
・弁膜症の治療方針の決定
・心筋症の診断(心筋生検)
・大動脈瘤の検査

方法としては、大腿動静脈、肘部動静脈、橈骨動脈(手首の動脈)等のいずれかの血管を局所麻酔下で穿刺し、カテーテルを心臓まで挿入し血管造影や心機能測定などの検査や、場合によっては治療などを行います。

問題点としては、侵襲を伴うため、以下のような危険性があります。
1)検査または治療に伴う死亡
2)塞栓症(脳塞栓症、心筋梗塞、末梢塞栓症、肺塞栓症などがあり肺塞栓症に関しては術後数日経っても生じる可能性がある)
3)出血性合併症(穿刺部血腫、ショック、心タンポナーデ等)場合により血腫除去手術、輸血等が必要となることがある。
4)血管穿孔、血管解離

再現ドラマでは、かなり反対され、それにもかかわらず自らの体を用いて実験をしたヴェルナー先生の姿が描かれていました。「患者さんを救いたい」という、医師としての根源的な強い思いをしっかりと具現化していた様子が、非常に印象的でした。ノーベル賞受賞という形で結実したのが、「ビューティフル マインド」のジョン・ナッシュの姿に重なって、感動的な結末でした。

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