保険業法の改正を受けて設立された少額短期保険業者(ミニ保険会社)が、国内初の糖尿病患者向けに特化した医療保険を7月から販売することが29日分かった。患者の入院・手術費用を保障するほか死亡保険金も給付する。一般に糖尿病の医療費は高額で保険商品の整備も遅れていたが、同社は幅広い糖尿病患者が加入できる商品を提供することで患者や家族の負担を軽減したい考えだ。

この保険会社は、エクセルエイド少額短期保険(東京都中央区、和田敏文社長)。昨年8月に生命保険会社の元社員らが資本金1億6000万円で設立。昨年4月施行の保険業法改正で、少ない資本金の“ミニ”保険会社でも保険事業が営めるように制度改正されたのに伴い、営業を始めた。

厚生労働省の調べでは、平成14年度の糖尿病患者数は「予備軍」を含めて1620万人と推計され9年度の1380万人から約17%増加している。ところが、従来の医療保険では糖尿病患者に対する加入条件が厳しく、糖尿病患者に特化した保険もなかった。

エクセルエイド社は病気による入院や手術費などを保障する医療保険と、死亡保障型の定期保険の2種類の保険を販売。それぞれ、「2年以内に何らかの病気で手術・入院をしたか」「3カ月以内に医者から手術・入院を勧められたか」などの条件に該当しない場合に加入を認めるようにした。

医療保険は、年間80万円の限度内で入院・手術を保障。1回の入院あたり60日が限度だが、入院中に糖尿病の合併症を併発した場合、その時点からさらに60日の保障を得ることができる。定期保険は300万円の限度内で死亡を保障する。

たとえば、30歳男性の場合、死亡の場合300万円保障される定期保険では月々の保険料は約2500円、入院時などに1日あたり5000円給付される医療保険に加入した場合の保険料は月額約2000円となる。
(糖尿病患者向け医療保険、販売へ 入院・手術費を保障)


糖尿病は、血糖値のコントロールをせずに放置していると、合併症をともなってしまうことがあります。いわゆる三大合併症といわれ、1)糖尿病性神経障害、2)糖尿病性網膜症、3)糖尿病性腎症があります。

1)糖尿病性神経障害は、比較的早期から出現し、自律神経から感覚神経へと障害が進展します。自律神経障害としては胃腸障害(便秘/下痢)、発汗障害、 起立性低血圧、インポテンツなどがあります。感覚神経障害としては末梢のしびれ、神経痛などがあります。

2)糖尿病性網膜症は、糖尿病による網膜症です。血管障害によって酸素欠乏状態になった網膜から、血管を自分のほうへ伸ばす血管内皮成長因子(VEGF)をはじめとしたサイトカインが関与していることが明らかにされています。その結果病的な血管が新しく出来ます。その新生血管は非常に脆いため出血がしやすく、それによって目の機能に障害が起きます。失明に至る恐れもあるため、糖尿病の方にとっては、注意を必要とします。

3)糖尿病性腎症は、腎臓の糸球体が細小血管障害のため硬化して数を減じていくために生じます。進行してしまうと、腎不全にいたり、透析が必要となります。

こうした症状の中で、増殖性網膜症は対症療法としてレーザー光凝固療法、硝子体切除術を行います。手術に対してや、糖尿病性昏睡で入院した場合、医療保険が適応できるとなれば、高額な医療費の負担を軽減できると思われます。今後も糖尿病患者は増加していくと思われます。是非とも、予防対策やこうした医療保険の整備が進められることが望まれます。

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