自分の血液型に対応したヨーグルトなら、一度食べるだけで効果は数カ月−。こんな夢のヨーグルトの開発につながる乳酸菌を、東北大学大学院農学研究科(食品科学)の斎藤忠夫教授が発見した。

この乳酸菌は、人間の血液型を認識して腸内に長期間とどまるのが特徴で、「A型向け」など血液型別のヨーグルトや医薬品への応用が検討されている。乳酸菌が腸に付着するには、腸の表面に存在する糖タンパク質「ムチン」と結合する必要がある。ムチンはそれぞれの血液型を反映した構造で、斎藤教授は、この構造と相性の良い乳酸菌を血液型別に探した。

実験で人間の腸にいた約二百七十種類の乳酸菌を調べた結果、合わせて約三十種類がいずれかの血液型に対応するムチンに強く付着することが分かった。これらの乳酸菌は最低でも一週間は付着するものが多く、中には一カ月以上定着した乳酸菌もあったという。

乳酸菌は便秘の改善など整腸作用で知られているが、多くは三日程度で腸から排出されるため、通常は摂取を続けないと効果が得られにくい。

斎藤教授は乳業メーカーと共同研究中。「乳酸菌は安全な菌が多く実用化しやすい。将来は、血液型で商品を選ぶという新たなジャンルを開拓したい」と話している。
(血液型認識する乳酸菌発見 「A型向け」ヨーグルト開発も)


血液型とは、血液内にある血球のもつ抗原の違いをもとに決めた血液の分類のことです。抗原は、赤血球・血小板・白血球・血漿などに存在し、数百種類が知られており、その組み合せによって決まる血液型は膨大な数になります。

その中で、馴染みのあるABO式血液型とは、赤血球の血液型の分類法の一種です。最も初期に発見され、1900年に血液型分類は発表されました。

ABO式血液型は、3種の遺伝子の組み合わせによる表現形によって決定されます。ABO式血液型を決定する遺伝子は第9染色体に存在します。O型の場合、H物質発現をコードする遺伝子は第19染色体に位置し、H前駆物質をH物質へ変換させます。それぞれの遺伝子と抗原は、以下の通りになっています。

・A型:A遺伝子をすくなくとも一つ持ち、B遺伝子は持たない(AA型、AO型)→A抗原を持つ。B抗原に対する抗体が形成
・B型:B遺伝子をすくなくとも一つ持ち、A遺伝子は持たない(BB型、BO型)→B抗原を持つ。A抗原に対する抗体が形成
・O型:A遺伝子・B遺伝子ともに無い(OO型)→H抗原のみ持つ。A,B抗原それぞれに対する抗体が形成
・AB型:A遺伝子・B遺伝子を一つずつ持つ(AB型)→A抗原、B抗原両方を持つ。抗体形成なし

乳酸菌が腸に付着するには、腸の表面に存在する糖タンパク質「ムチン」と結合する必要があるそうです。ムチンは、不思議なことに、それぞれの血液型を反映した構造になっているとのこと。ということは、この血液型に対応したムチンによく付着する乳酸菌を開発すれば、より効果の高いものを作ることができる、ということになるのでしょうね。期待されます。

【関連記事】
花粉症にも効果の期待?ビフィズス菌「BB536」

ビタミン剤取り過ぎで前立腺がんに?