先天性心臓病の治療のため明美ちゃん基金(産経新聞社提唱)の適用を受けて来日したイラク人2児のうち、6月28日に「ファロー四徴症」の手術を受けた女児、アリア・アルサリヒちゃん(2)は2日、国立循環器病センター(大阪府吹田市)の集中治療室を出て小児科病棟へ戻った。
 
父親のアラアさん(51)は、病室のベッドに横たわったアリアちゃんをいたわるように、優しいキスをした。アリアちゃんは大手術の後だけに、まだ少しつらそうな様子で、時折目を開け、小さな手で父の手を握りしめたりしていた。
 
担当の渡辺健一医師は「引き続き経過を見ているが、特別大きな問題はない」と話している。
(アリアちゃん一般病棟戻る 明美ちゃん基金)


明美ちゃん基金とは、先天性心臓病などに苦しみながら経済的な事情で手術を受けることができない子供たちを救うため、産経新聞社が提唱して設立された基金とのことです。

昭和41(1966)年6月7日に1通の投書がきっかけとなり、社会面に闘病生活を送る鹿児島県に住む伊瀬知明美ちゃん(当時5歳)の記事が載り、そのことがきかっけで設立された基金です。

現在では、世界で先天性心疾患に苦しむ子供達のために、基金が用いられているとのことで、今回、ファロー四徴症を患っているアリアちゃんを救うことができたようです。

ファロー四徴症とは、1)心室中隔欠損症、2)肺動脈狭窄、3)大動脈右室騎乗、4)右室肥大の、四つの特徴を有する疾患です。全身に送られる動脈血に血中二酸化炭素濃度の高い静脈血が増加するため、チアノーゼを起こしてしまいます。

生後まもなく心雑音で気づかれることが多いです。第2〜3肋間胸骨左縁の駆出性収縮期雑音を主体とする心雑音は、新生児期から聴取されます。恐擦話碓譴俳郷覆靴泙后生後2〜3ヶ月の時期に徐々にチアノ−ゼが出現します。ですが、本症でのチアノーゼ出現の時期はさまざまで、3分の1は生後1ヶ月以内に、3分の1は生後1ヶ月ないし1年に、残りは生後1年以後に現れます。乳児期には泣いた時や運動時にだけみられるチアノーゼが、のちには常時認められるようになるといわれています。

症状としては、ばち状指(指先が太鼓のばちのように膨らんでくる)、赤血球増加症、呼吸困難と運動制限が著明で、運動ののちにうずくまってしまいます(相撲の蹲踞[そんきょ]の姿勢をします)。また、特有のチアノーゼ発作(唇などが黒くなり、一時的に意識を失う発作)が3ヶ月〜3歳で生じることもあるそうです。

治療としては、乳幼児期には、チアノーゼ発作に対する予防と対処が必要です。家庭でのチアノーゼ発作に対する処置は、以下のようなものがあります。
1)抱き上げて蹲踞の姿勢をとらせる(心室中隔欠損症によるシャントを減らす)
2)酸素吸入装置の利用
また、チアノーゼ発作が20分以上続く場合は、病院での管理が必要となります。

低酸素発作に関しては、酸素投与、輸液、塩酸モルヒネ(過換気を防ぐ目的)、場合によっては重炭酸ナトリウム(アシドーシスの補正のため)の投与を行います。発作予防のためには、βブロッカーを投与します。

チアノーゼ発作が薬物で抑えられない場合は根治治療を考えます。自然治癒はしないため手術を要します。根治手術は以前はある程度の成長を待ちましたが、現在ではアリアちゃんのように、1〜2歳前後の手術が一般的とのことです。心室中隔欠損孔閉鎖術、右室流出路再建術などをおこないます。

また、年齢などで根治手術を待たなければならない場合は、肺血流増加を目的としたブレロック短絡手術を行う場合もあります。

こうした基金の設立がもっと広まり、救える命が世界的に増えて欲しいと思われます。

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