超音波検査をもとに、膵臓がんになりやすい人かどうかを見分ける方法を、大阪府立成人病センター(大阪市)の田中幸子・検診部長らが発見した。膵臓がんの早期発見と治療成績の向上につながる研究成果として注目を集めそうだ。京都市で開かれた日本がん検診・診断学会で7日、報告された。

田中部長らは、1998年から2002年にかけて同センターで膵臓の精密な超音波検査を受け、何らかの軽い異常が見つかった754人に対し、3〜6か月ごとに定期的な検査を実施、06年末までに12人から膵臓がんが発見された。

この12人について、当初の超音波検査のデータを解析したところ、7人には、
1)膵臓から十二指腸に消化液を送るための主膵管の直径が2.5mm以上(通常2mm以下)
2)膵臓に直径3cm以下の小さな袋がある
の二つの異常があった。

こうしたことから、この二つの異常が超音波検査で見つかった場合には、見つからない人に比べ、膵臓がんになる危険性は約27倍高く、異常がどちらか一つだけでも、危険性は3〜4倍高くなるとしている。
(膵臓がん“予備軍”超音波で判別…大阪府立成人病センター)


膵臓癌は、膵臓から発生した悪性腫瘍です。進行が早く、きわめて予後が悪いとされています。

膵臓は膵液を産生する腺房、膵液を運ぶ膵管、および内分泌腺であるランゲルハンス島などからなりますが、膵癌の約90%は膵管から発生する膵管癌(ductal cell carcinoma)で、通常「膵癌」といえば膵管癌を指します。

症状としては、腹痛、体重減少、黄疸、耐糖能異常などがありますが、初期には無症状のことが多いため、発見が遅れやすいとされています。進行癌になると背部痛、腹痛、下痢が出現します。膵頭部(膵臓の右側)の癌では皮膚や尿の黄染で発症することもありますが、これは腫瘍が総胆管を閉塞して黄疸が出現するためです。

診断としては、超音波検査では典型的な膵管癌は境界不明瞭で不整形の低エコー域として描出されます。膵頭部の癌では主膵管や胆管の拡張も認められます。
CTでは、膵臓に一致して低濃度で不整形の腫瘍が描出されます。膵管癌は血流に乏しいため造影CTでは造影されません。いっぽう膵内分泌腫瘍は血流に富むため造影CTで強く造影されます。

進行度によって手術、全身化学療法、放射線療法、あるいはこの組み合わせて行われますが、根治療法は手術のみです。ですが、すでに進行してしまっている症例が多いため、治療には難渋してしまうようです。

今回の発表で、膵臓癌の早期発見が期待されます。

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