日東電工は、北京で米系製薬会社アボット・ジャパンと共同開発したぜんそく薬の「アミディ(日本製品名ホクナリン・テープ)」を中国国内で販売する。中国で張るタイプのぜんそく薬が販売されるのは初めて。

アミディは気管支拡張剤ツロブテロールを粘着剤に結晶体として混入、皮膚から徐々に血液中に浸透するよう設計されている。このため副作用が少なく、口からの服用が難しい乳幼児や高齢者にも適した世界初の経皮吸収型ぜんそく薬。特に就寝前に張ると朝方の発作を抑えることができるといい、日本では1998年から発売されてきた。今回、中国での臨床試験を経て中国当局から輸入医薬品としての販売認可を得た。韓国に続く海外での販売となる。価格は1枚9・5元前後。

中国では大気汚染などで推計約2000万人の気管支ぜんそく患者や慢性閉塞肺疾患患者がおり、ぜんそく薬市場は現在8億元規模で今後も急増していくとみられている。中国の医薬品市場全体では1・5兆〜2兆円規模だが、2015年には日本を超えると予測され、日東電工としては、これを中国医薬品市場進出への足がかりにしたいとしている。
(大気汚染…ぜんそく増の中国で初、「張る」タイプ)


喘息とは、アレルギー反応や細菌・ウイルス感染などが発端となった気管支の炎症が慢性化することで、気道過敏性の亢進、可逆性の気道狭窄をおこし、発作的な喘鳴、咳などの症状をきたす呼吸器疾患です。

環境刺激因子(アレルゲンと呼ばれ、大気汚染も含まれる)、寒気、運動、ストレスなどの種々の刺激が引き金となり、これらに対する過敏反応として、気管支平滑筋、気道粘膜の浮腫、気道分泌亢進などにより気道の狭窄・閉塞が起こります。気道狭窄によって、喘鳴、息切れ、咳などの症状をが起こってきます。

気管支喘息治療薬は「長期管理薬」(コントローラー)と「発作治療薬」(リリーバー)に大別されます。発作が起きないように予防的に長期管理薬を使用し、急性発作が起きた時に発作治療薬で発作を止める、といった方法がとられます。

長期管理薬では、吸入ステロイド薬が最も重要な基本薬剤で、これにより気管支喘息の本体である気道の炎症を抑えることが気管支喘息治療の基本となります。重症度に応じて、吸入ステロイドの増量、経口ステロイド、長時間作動型β2刺激薬(吸入薬・貼り薬があります。いわゆる気管支拡張薬です)、抗アレルギー薬、抗コリン剤などを併用します。

今回、発売となったのはホクナリン・テープ(アボット、主成分塩酸ツロブテロール)です。これは、喘息の発作を予防したり発作の症状を押さえるためのβ2受容体刺激薬に分類される気管支拡張薬で、経皮吸収用製剤です。気管支に選択的に作用します。旧来のβ刺激薬に比べ、心臓を刺激する作用が弱いほうとされています。

経皮吸収製剤の場合、薬剤は非常にゆっくりと吸収されます。ホクナリン・テープを貼付けると、数時間かけて血液中に吸収され、血液内のホクナリン濃度は一定に保たれ、持続します。作用時間が長いため、喘息発作の起こりやすい明け方(一般に、呼吸の機能は夜から朝にかけて低下するため、発作が起こりやすい)にかけて、寝ている間の喘息発作の抑制が可能となります。

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