農水省は9日、ドイツで鳥インフルエンザが発生したため、ニワトリのひななど家禽類の輸入を停止すると発表した。

ドイツからは昨年、ニワトリのひな約11万4000羽が日本に輸入されており、輸入量はフランス、英国に次いで3位。ドイツでは昨年4月にも鳥インフルエンザが発生し、約4カ月間、日本へのひなの輸出が停止された。同省は「生産者は昨年の経験を踏まえ、他国のひなを増やしてやりくりできるため、影響は少ないだろう」とみている。
(ドイツ産ひな、輸入停止 鳥インフル発生で)


今年も、宮崎県清武町や日向市、岡山県高梨市などでH5N1型高病原性トリインフルエンザウイルスが多数の鶏に感染し、殺処分されたことがあり、記憶に新しいのではないでしょうか。

トリインフルエンザとは、A型インフルエンザウイルスが鳥類に感染して起きる鳥類の感染症です。中でも、ニワトリなどの家禽類に感染して、宿主を死に至らしめる高病原性トリインフルエンザが問題となっています。

ヒトのインフルエンザの原因になるウイルス(ヒトインフルエンザウイルス)と、トリインフルエンザの原因になるウイルス(トリインフルエンザウイルス)では、感染対象となる動物(宿主)が異なるため、一般的にはトリインフルエンザウイルスがヒトに感染する能力は低く、また感染してもヒトからヒトへの伝染は起こりにくいと考えられています。ですが、大量のウイルスとの接触や、宿主の体質などによってヒトに感染するケースも報告されています(ウソみたいな話ですが、一説には、ヒトの屎尿が河川に流され、そこからヒトインフルエンザウイルスへ水鳥に感染する、ということがいわれています)。

日本の法律(家畜伝染病予防法)では、H5及びH7亜型のウイルスを高病原性トリインフルエンザウイルスと定義しているようです。現に、世界的に養鶏産業の脅威となっているのはこのウイルスです(抗原型では[H1〜H16]×[N1〜N9]と多くの組み合わせがあります)。

トリ用ワクチンは開発されていますが、感染予防には完全ではなく、ニワトリの感染を完全回避はできず、感染しても発症を低減できるのみとされています。そのため、トリインフルエンザウイルスの感染拡大の阻止には無力であると考えられています。

多くの損害は伴いますが、早急に対応し、感染が広がらないようにすることが重要であると考えられます。また、こうした輸入禁止措置などをとるため、しっかりと情報公開が求められます。

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