厚生労働省の予防接種に関する検討会(座長・加藤達夫国立成育医療センター総長)が9日夜開かれ、国内での麻疹の流行をなくすため「麻疹排除計画」を策定することで合意した。平成24年までの5年間をかけて、ワクチン接種により免疫保有率を95%以上に高め、患者が発生しても流行が起きない状況にすることを目指す。この日の検討会では、排除に向けた議論のたたき台が示された。
 
はしか予防にはワクチンの2回接種が重要とされるが、たたき台では昨年から始まった小学校入学までの2回接種の徹底に加え、接種の機会が1回だった世代に対し、5年間の時限措置として中学1年生と高校3年生での定期予防接種を追加する案などが示された。委員からは「追加接種の対象は十分か」などの意見が出て結論は持ち越された。検討会は、8月中に計画をまとめる方針。
(中1、高3で麻疹 予防接種 厚労省が方針)


麻疹・風疹混合ワクチンとは、従来の麻疹・風疹ワクチンを混合し、1回で接種するために使用されるワクチンです。予防接種法改正に伴い、2006年4月から接種が開始されました。麻疹(Measles)、風疹(Rubella)の頭文字をとってMRワクチンともいいます。

1988年から、麻疹・流行性耳下腺炎・風疹混合ワクチン(新三種混合ワクチン、MMRワクチン)の接種が認められました。ですが、ムンプスワクチンによる無菌性髄膜炎の発症率が「予想外に高く」、重度障害者を発生させ、政府に賠償責任が生じたこともあって、1993年にはMMRワクチンの接種は中止されてしまいました。

その後、2006年4月以降、新規にワクチンを接種する1歳以上2歳未満の幼児からは、麻疹・風疹混合ワクチンを接種することが可能となりました。
接種スケジュールとしては、以下のようになっています。
1回目:月齢12〜23ヶ月
2回目:小学校入学前の1年間

今回、改正の中心となっているのは、「小学校入学までの2回接種の徹底」および「接種の機会が1回だった世代に対し、5年間の時限措置として中学1年生と高校3年生での定期予防接種を追加」ということのようです。

「小学校入学までの2回接種の徹底」に関しては、以前からの接種スケジュールを踏襲した形であり、「1回接種のみの児童対象には時限措置」ということであり、今後は麻疹予防接種は徹底されていくようです。

「日本は麻疹を輸出している」などと、麻疹予防の甘さを指摘されてきましたが、こうした措置を徹底していくことで、今年のような流行は抑えられていくと考えられます。

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